みなさん、こんにちは。東京コンサルティングファーム、ホーチミン拠点の下田です。今回は、ベトナムの工業団地優遇制度について説明します。

2025年10月1日に施行された新法人税法により、工業団地へ入居していることだけを理由とした法人税優遇は原則として廃止されました。工場の移転・拡張やM&Aを検討されている企業にとって、投資回収期間や事業収益に直結する重要な変更です。

1. 工場移転やM&Aの際に見落としやすい税制優遇

近年のベトナムでは、新規で工場を設立するケースだけでなく、工場の移転や拡張、生産拠点の再編、製造業のM&Aを検討する企業が増えています。

そのような中で、見落としやすいポイントの一つが工業団地(Industrial Zone:IZ)に関する法人税優遇制度です。設備や立地条件に注目しがちですが、税制優遇の有無によって投資回収期間や事業収益に影響を及ぼすこともあるため、事前の確認が重要です。

2. 工業団地優遇制度の見直し

従来は、工業団地へ入居すること自体を理由として、「2年間免税・その後4年間50%減税」といった法人税優遇を受けられるケースが一般的でした。そのため、工場の移転先や買収対象企業を検討する際にも、工業団地への入居が税務上のメリットの一つとなっていました。

時期 工業団地入居を理由とした法人税優遇
従来 入居自体を理由に「2年間免税・その後4年間50%減税」等が受けられるケースが一般的
2025年10月1日〜 原則として廃止

そのため、新たに工場を移転・拡張する場合や、新たな投資プロジェクトを実施する場合は、以前と同様の優遇措置を受けられるとは限りません。

3. 今後も優遇を受けられるケース

工業団地に入居するだけでは優遇の対象とはなりませんが、すべての税制優遇が廃止されたわけではありません。

例えば、政府が指定する経済的に困難な地域やハイテクパークへの投資、また、ハイテク事業や研究開発(R&D)などの優遇対象事業については、引き続き法人税の優遇措置が設けられています。

判断軸が変わりました

今後は「工業団地に入居しているか」ではなく、「どの地域で」「どのような事業を行うか」が優遇適用の重要な判断要素となります。

4. 既存プロジェクト・M&Aでは経過措置の確認

一方で、2025年9月30日以前に投資登録証明書(IRC)を取得している既存プロジェクトについては、経過措置により従来の優遇制度が適用される場合があります。

そのため、既存工場を買収するM&A案件では、対象会社が現在どのような優遇措置を受けているのか、その優遇が引き続き適用されるのかを事前に確認することが重要です。

5. まとめ

今回の制度改正により、工場移転や製造業のM&Aでは、設備や立地だけでなく、税制優遇の有無が投資回収期間や事業収益に大きく影響することがあります。

移転先の選定や買収の検討を進める際は、優遇制度の適用可否や経過措置の有無をあらかじめ確認し、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。

東京コンサルティングファームでは、ベトナムにおける会社設立・投資ストラクチャーの検討から、法人税優遇の適用可否の確認、工場移転に伴う各種手続き、M&Aに関する税務・法務デューデリジェンスまで、一貫してサポートしております。

工場の移転や拡張、生産拠点の再編、製造業のM&Aをご検討の際は、お気軽に東京コンサルティングファームまでお問い合わせください。

【参照・引用元】
  • 新法人税法:2025年10月1日施行
  • 経過措置の対象:2025年9月30日以前に投資登録証明書(IRC)を取得している既存プロジェクト
  • 上記は執筆時点の情報に基づきます。法律・制度は変更される場合があります。
【免責事項】
本記事は、執筆時点(2026年7月8日)の法令・実務情報等に基づいて作成しております。法令改正や行政運用の変更等により、内容が変更となる場合があります。
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