こんにちは。ベトナムハノイ拠点の小瀬です。
ベトナムにおける労働法規の運用に関し、実務上でご質問をいただくことの多い「女性従業員の生理休憩」に関する制度と、その適切な取り扱いについて、法規定の要点を改めてご案内いたします。
本記事の結論:ベトナムの生理休憩制度のポイント
付与義務:毎月最低3日、1日あたり30分の有給休憩を付与する
未取得時の対応:会社承認のもと休憩を取得せず勤務した場合、未取得時間分の追加賃金の支払いが法令上必須(残業代には非算入)
実務上の注意点:意図せぬ未払い賃金リスクを防ぐため、就業規則への明記と運用プロセスの整備が必要
1. 根拠法令
本制度の根拠となるのは、政令第145/2020/ND-CP号 第80条第3項(女性従業員のヘルスケアに関する規定)です。なお、上位法である労働法2019 第137条第4項とあわせて根拠とされます。
2. 制度の概要
現行のベトナム労働法規では、女性従業員の健康保護を目的として、生理期間中の休憩に関する取り扱いが明確に規定されています。要点は次の3つです。
① 休憩の付与と有給扱い
女性従業員は生理期間中、1日につき30分の休憩を取得する権利を有します。この休憩は有給として扱われます。
② 柔軟なスケジュール調整
実際の労働条件や従業員本人の希望に基づき、労使間で合意したうえで、適切な休憩スケジュールへと柔軟に変更・調整することが認められています。
③ 未取得時(買い取り)の手当支給義務
女性従業員がこの休憩を取得せずに勤務の継続を希望し、会社側がこれを承認した場合、会社は通常の基本給に加えて、本来取得するはずであった休憩時間(30分×日数分)に労働した分の追加賃金を支払う義務が生じます。
なお、この時間は残業(オーバータイム)時間には算入されません。
3. 実務への影響と今後の対応について
本規定により、女性従業員が生理休憩を取得せず勤務の継続を希望し、かつ会社がこれを承認した場合には、実際に労働した時間分の追加賃金を支給(実質的な買い取り)することが法令上求められています。
なお、この追加賃金の支払い義務は、年次有給休暇のように未消化分が累積して期末に精算されるものではなく、あくまで「会社の承認のもとで実際に就労した時間」に対して発生する点にご留意ください。
就業規則の確認をお勧めします
現在、社内規定において本制度の運用プロセスや、未取得時の追加賃金支給について明記・適用されていない場合、意図せぬ未払い賃金のリスクが生じる可能性があります。
新入社員へのご説明や労務コンプライアンス遵守のため、今一度、貴社における実際の運用状況および就業規則の内容をご確認いただくことをお勧めいたします。
本件に関するご不明な点や、社内規定の見直しに関するご相談等がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
- 政令第145/2020/ND-CP号 第80条第3項(女性従業員のヘルスケアに関する規定)
- ベトナム労働法2019 第137条第4項
- 上記は執筆時点の情報に基づきます。法律・制度は変更される場合があります。
本記事は、執筆時点(2026年6月11日)の法令・実務情報等に基づいて作成しております。法令改正や行政運用の変更等により、内容が変更となる場合があります。
また、本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を行うものではありません。個別案件については、必ず専門家へご相談ください。
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