現地法人の設立について 3

こんにちは、トルコ駐在員の高津です。

今週も現地法人の設立について記載していきます。

[資本金の払込]

トルコ側にて設立書類を申請し、銀行口座を開設した後、資本金の4分の1を登記前に払込み、商業登記所に登録するための書類として、銀行より入金の証明書を現地側で取得する必要があります(トルコ商法344条、585条)。残りの資本金は会社設立後、2年以内に払い込まなければなりません。

■トルコ側の手続日本側での現地法人情報の決定および、申請書類の準備が完了後、トルコ側にて以下のとおり法人設立手続を行います。

行政機関の対応にはばらつきがありますが、これらの手続は通常2~4週間ほどで完了し、活動を開始することができます。

[Mersisで設立申請書類提出、申請番号取得]…❶

2013年度より、トルコの一部の都市において、申請の効率化のためオンライン申請(Mersis:MerkeziSicilKayıtSistemi)が導入されました。本システムを利用すれば、会社設立の事前申請をはじめ、会社定款の改定、清算、支店の設立等を行うことも可能です。会社設立時に、申請者がログインを行い会社定款など指定の書類をアップロードし申請番号取得します。イスタンブール商工会議所でも同システムを導入しています。

本システムは導入後まもないため不具合が生じることも間々あり、不測の事態に備えて書面を用意しておくのが賢明です。なお、本システムはすべてトルコ語で記載されています。

[定款の認証・公証]…❷

定款の認証・公証は❶による登録申請終了後、発行された申請番号とともに現地側の公証人による認証・公証を受けなければなりません。

[銀行口座の開設、資本金の払込証明書の取得]…❹❺

現地にて資本金の振込証明書を取得するためには、現地銀行にて会社設立のため銀行口座開設である旨を伝え、会社名義の仮銀行口座を開設します。銀行口座開設に必要な書類は銀行によって異なりますが、原則として下記の書類は必要です。

・会社定款・税務番号・署名宣言書・発起人のパスポートのコピー

以上の書類を用意した上で、銀行にて会社名義の仮口座を開設します。商業登記所に登録する際に、資本金の4分の1を払込みます。振込先銀行は、入金を確認したのち、商業登記所での登記に必要な払込証明書を発行します。この段階ではまだ仮口座であるため、資本金は銀行側でブロックされており、入金直後に資本金の引出ならびに使用はできません。そのため、商工会議所で登録完了後に取得した会社番号と、商工会議所から発行された文書を持参して再度銀行にて正式な口座開設の手続を行う必要があります。残りの資本金は設立後2年以内に払込まなければなりません。

[公正取引機構への入金および、領収書の取得]…❻

会社設立者はトルコ共和国中央銀行(CBRT)または民間銀行にて資本金の0.04%を公正取引機構へ入金します。商業登記所に登録するための書類としてハルク銀行から領収証原本を取得する必要があります。

[商工会議所にて登録]…❼

商取引登記所に以下の会社設立書類を提出し、会社登録を行います。

・商取引登記所に申請する請願書(Petition)

•法人設立通知書3部(kuruluşbildirimformu)

・商業会議所登記の宣誓書

・会社定款(原本1部、コピー4部)

・設立者の署名宣言書ならびにパスポートのコピー(各2部)

•誓約書(taahhütname)

・公正取引機構への払込証明書

・資本金の払込証明書

・登記簿謄本

・決議書

・設立者のパスポートのコピー(2部)、証明写真(4.5㎝×3.5㎝、3枚)

商工会議所より設立許可が下りると、10日以内に法人設立について第三者への通知のため、アンカラのトルコ商工会議所連合(TOBB:TürkiyeOdalarveBorsalarBirligi)より発行される商業登記官報(TradeRegistryGazette)を用いて会社設立ならびに定款などの告知・刊行をしなければなりません。ただし、トルコ商法588条によれば、設立会社は商取引登記所での登録が済んだ時点で、設立手続完了とみなされます。

以上です。

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

高津 幸城

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