現地法人の設立について 2

こんにちは、トルコ駐在員の高津です。

今週は先週に引き続き現地法人の設立について記載していきます。

[会社定款]

現地法人の会社定款は、書面において設立者が署名したものを現地側の公証人により認証・公証されなければなりません。会社定款には下記の事項を記載する必要があります(トルコ商法575条)。

・親会社の商業名、登記住所

・会社の事業目的、事業内容

・授権資本、引受済資本、払込資本の各金額

・株式数、株式に付帯する権利、一株の額面価格

・取締役の氏名、役職、国籍

また上記に加え、相対的記載事項としては包括的かつ主要なものとして下記の事項を定款に明記する必要があります。相対的記載事項とは、定款に記載しなければ効力を有しない事項のことです。ただし、記載できる事項は会社法などで法律の各条項に一応の定めがある事項について、定款によりこれと異なる定めを設けることが認められている場合に限ります。

・法律条項より株式の譲渡制限に関する事項

・会社または株主に寄与される資本金の株式に関する新株式受権、先買権

・追加支払義務の形式、対象範囲

・付随的履行の形式、対象範囲

・総会の決議において可否同数の場合に与えられる投票権の規程

・会社定款またはトルコ商法において債務のすべてまたはそのいずれが満たされない場合に適用される罰則規程

・競業避止義務や利益相反取引の制限

・総会の招集に関する規程
・総会における意思決定、投票権、単元株式数に関する規程

・第三者機関への会社管理の割当に関する規程

・貸借対照表利益の処分に関する規程

・会社からの株主の解散に関する特別の場合の意思決定の規程

会社の活動は法令の規定に従い、定款やその他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を有し、義務を負うため、定款作成の際はトルコの法令に留意する必要があります。

[商号]

商号の決定は商取引登記所での登録前に先立って行わなれなければなりません。トルコでの商号は主に社名、事業、会社の形態の3要素を備えたものを選びます。トルコ商法に従い次のような社名は使用できません(39条)。社名として許可が下りないことも想定し、2つ以上の候補を挙げておくようにします。

・申請した社名が既に他社により登録されている、またはそれに類似するもの

・会社の設立目的、目標、事業内容にそぐわないもの

・公序良俗または、道徳や国益に反するとみなされる可能性があるもの

・閣僚会議の許可なく国名にかかわる単語またはTurk、Turkish、republic、nationalなどの単語を含むもの(これらの単語が社名や氏名に含まれている場合は除く)

・他社との合併目的以外で設立された会社において社名にholdingが含まれるもの

・国家機関、政府機関、国際機関の名称と同一または類似するもの

トルコでは商号は厳格に保護されています。全商取引登記所において社名の候補と同一の商号がないかを事前に確認することが必要です。なお、企業登録から削除された商号は5年間再登録することができません。

商号は言語にかかわらず社名を要素の1つとして活用し、事業目的および会社の形態をトルコ語で記載します。ただし、事業内容および会社の形態が同種で既に登録されている商号と類似または同一であると判断された場合、追加の語または接尾辞を入れなければなりません。社名が類似または同一であっても、事業内容および会社の形態が異なる場合は認可を得られる可能性があります。

以上です。

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

高津 幸城

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