トルコ監査制度

こんにちは、トルコ駐在員の田中です。
この度トルコ、イスタンブールの赴任となり、今後トルコについて少しでも皆様のお役に立てるよう情報を発信し、他国に負けないようトルコも盛り上げていきます。

さて、現在トルコでは、法改正が目まぐるしく行われており、トルコの政策自体が次第に変わりつつあります。会社法においても、新会社法が2012年の7月1日に発効されており、いくつかの条項については2013年の1月1日から発効されます。

この新会社法では、企業の透明性、監査能力、信頼性を厳格にするべく改正が行われました。そして、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した財務諸表の作成や国際監査基準(ISA)に沿った独立監査を取り入れ、さらに世界各国で理解可能かつ他国企業との比較が可能となりました。そのため、今後、海外からの資金調達の機会が拡大し、海外顧客や販売者からの高い信頼確保に伴う事業拡大が期待されております。

今回のブログでは、その新会社法の中の監査制度についてき、取り上げたいと思います。

トルコでの監査制度はこの新会社法に基づき規定されており、監査基準は、国際監査基準(ISA)に則して定められています。

〈監査対象〉
監査対象企業としては、トルコ国内のほぼすべての企業です。しかし、その他一部として、本社が海外に所在しており、当該親会社が新会社法で規定する監査と同等の監査の対象となっている場合や小規模な企業の場合等は、監査対象外となります。

〈監査の種類と内容、要件〉
新会社法では、独立外部監査取引監査特別監査の三種類が規定されています。
①独立外部監査:独立外部監査は通常の会計監査を想定しており、企業の規模に関わらず、全ての企業の財務諸表(または連結財務諸表)及び、年次活動報告書に対する監査を言います。
また、監査人を任命する際、企業側は株主総会にて任命後、その監査人の商業登記を行い、Webサイト上で公表する必要があります。そして、同一の監査人の監査は継続して7年間受けることが出来ますが、その後少なくとも2年間違う監査人を選定しなければいけません。
②取引監査:監査範囲は企業の設立、増減資、合併、スピンオフを始め、組織変更や証券発行まで至り、取引全般と規定されています。また、取引監査を行う取引監査人は、外部監査と区別され、CPAもしくはIAFA(独立会計財務アドバイザー)でなければなりません。
③特別監査:特別監査は株主の要求に応じた監査制度で、新会社法で株主の地位の強化が図られた変更点として、この特別監査の要請権があげられます。株主総会において、企業の不正行為や財務諸表上に矛盾の疑いがあると判断された場合などに、株主は特別監査による事象の解明を要請することができます。そして、この要求が認められた場合、株主の要請により30日以内に裁判所により特別監査人が選任され、特別監査完了後、取締役会は監査報告および評価結果を次の株主総会において報告しなければならなくなりました。

〈税務監査〉
トルコでは、Income Tax Lawの規定により、公認会計士による税務監査が義務付けられています。企業は税務当局へ貸借対照表や損益計算書を提出する際に、付属書類として監査報告書も提出する必要があります。

この様に今年から新会社法が施行され、監査という1年間の年末行事とも言えるビックイベントの規定も改定されております。また、来年の監査(2013年度)において、監査人の選定も2013年3月31日まで行われる必要がありますので、この機会に今一度監査につきご検討されてみてはいかがでしょうか。

以上

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