トルコでの税務監査について

こんにちは、トルコ駐在員の高津です。

今週はトルコでの税務監査等について記載していきます。

トルコでは会社法に基づき監査制度が規定され、国際監査基準(ISA)と一致した監査基準となっています。トルコにおける監査は、トルコ監査基準に準拠して実施され、トルコ会計基準、会社法、そして被監査企業の定款に準拠して財務諸表が作成されているかどうかを含みます。

■ 監査対象会社

トルコでの監査対象会社は大会社のみとなっており、2013年1月に監査対象となる大会社の定義が公表されました。原則としては売上高、総資産額、平均従業員数のうち2つを満たす場合に大会社に判定され外部監査を受ける必要があります。

法定監査の対象となる会社は、TFRSに沿って財務諸表を作成し、監査を行わなければなりません。また年次総会において、前期の損益計算書と貸借対照表が 株主により承認を受ける必要があります。

[ 大会社の定義]

売上高 2億トルコリラ

総資産 1億5,000万トルコリラ

平均従業員数 500名以上

■ 監査の種類

会社法では、外部監査、 取引監査、特別監査の3種類が規定されています。

外部監査

通常の会計監査を想定したもので、規模にかかわらずすべての会社は、財務諸表または連結財務諸表および年次活動報告書に対して監査を受ける義務を負います。

取引監査

会社の設立、増資、 減資、合併、スピンオフ、組織変更、証券発行など、会社のさまざまな取引を監査することです。 取引監査を行う取引監査人は、外部監査とは別の監査人であることが求められます。

特別監査

株主の要求に応じた特別な監査制度で、株主総会においてその要求が認められた場合、特別監査人は裁判所より任命されます。 特別監査は、企業の不正行為や財務諸表上に矛盾がある場合などが想定されています。

■ 監査人の要件

監査人は、 特別監査を除き、 株主総会により任命されます。監査人は、対象が大企業であれば独立監査法人、中小企業であれば独立監査法人、公認ファイナンシャルアドバイザー(YMM:YeminliMali Müşavir)、独立会計財務アドバイザー(SMMM:Serbest Muhasebeci Mali Müşavir)のいずれかであることが求められます。

会社は、監査人を任命した後、その監査人の名前を商業登記し、ウェブサイト上で公表します。

トルコでは監査人に対し、ローテーション制度が規定されています。すなわち、同一の監査人による監査は7年間認められますが、その後少なくとも2年間は、独立監査法人は別の担当者を監査業務に従事させなければなりません。

■ 監査に関する 取締役会の責任

トルコにおいて監査は必要事項であり、監査を受けていない財務諸表および年次活動報告書は認められません。監査人が正当に監査を行えるよう、 取締役会は監査人が要求するすべての情報を提出する必要

があります。

監査人が監査の結果、否定的な意見を表明した場合、当該財務諸表は株主総会において損益に関する事項の採決を受けることができなくなります。このような場合、取締役会は監査意見が表明された後4週間以内に 取締役に辞表の提出を求めます。 取締役の辞職を受けた後、株主総会を開催し、新たな取締役を任命することになります。

■ 税務監査

トルコでは、会社の作成する税務申告書が適正に作成されていることを保証するために、税務監査という制度が存在しています。これを行うかどうかはあくまで任意ですが、国が認定した公認ファイナンシャルアドバイザーが税務申告書を監査してその適正性を保証します。

会社が税務監査により適正意見を受領することは、税務申告書が税務調査を受けたと同等の信頼性があると当局から受け止められ、よほどの重大な還付もしくは形式的瑕疵がない限り、税務調査に入れられる可能性を低減できるという効果があります。それ以外にも、税務処理上の重大なミスの早期発見につながることなどから、特に外国企業は当該 税務監査を積極的に受ける傾向にあります。


以上です。

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

高津 幸城

関連記事

ページ上部へ戻る