◇タイの取引競争法とは? ~日本の独占禁止法との違いとM&A実務への影響~

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ名古屋拠点の片山眞沙です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「◇タイの取引競争法とは? ~日本の独占禁止法との違いとM&A実務への影響~)」ついてお話していこうと思います。

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目次

【◇タイの取引競争法とは? ~日本の独占禁止法との違いとM&A実務への影響~】

はじめに
皆さん、こんにちは。 東京コンサルティングファーム タイ拠点の片山です!
現在、タイ赴任に向けた勉強を進める中で、「クロスボーダーM&A 新興国におけ
る成長戦略 投資動向・外資規制」という書籍を読む機会がありました。
その中で気になったのが、タイの「取引競争法(Trade Competition Act)」です。
日本企業がタイ進出を検討する際には、外国人事業法(Foreign Business Act)に
ついて調べることが多い一方で、取引競争法についてはあまり知られていない印
象があります。
しかし実際には、売上高10億バーツ以上や、市場シェア50%以上といった一定の
要件を満たすM&Aや企業結合では、タイ競争当局への届出や事前承認が必要とな
る場合があり 、買収スケジュールやPMI(買収後統合)にも影響を与えることがあ
ります。
今回は、タイの取引競争法について、日本の独占禁止法との違いも交えながら整
理していきます。
 ◇タイの取引競争法(Trade Competition Act)とは?
タイの取引競争法(Trade Competition Act)は、公正な市場競争を維持するための
法律です。
日本の独占禁止法と似た位置付けの法律であり、
・市場支配的地位の濫用
・カルテル
・不公正な取引慣行
・企業結合(M&A)
などを規制しています。
現在適用されている法律は2017年に改正された取引競争法であり、近年はM&A案
件の増加に伴い、企業結合規制への注目も高まっています。
 ◇日本の独占禁止法との違い
大きな違いの一つは、企業結合に対する規制の考え方です。
日本でも一定規模以上のM&Aについては公正取引委員会への届出制度があります
一方タイでは、市場への影響度に応じて、
・事前承認が必要な案件
・事後届出で足りる案件
に分かれています。
そのため、案件によっては買収契約を締結した後も、当局対応が完了するまでク
ロージングできないことがあります。
クロスボーダーM&Aでは、想定していたスケジュールに影響する可能性があるた
め注意が必要です。
 ◇市場シェアが重要になる
タイでは売上規模だけでなく、
・市場シェア
・競争制限効果
・市場支配力
なども重要な判断要素になります。
例えば、同業他社同士の統合によって市場シェアが大きく上昇する場合、競争当
局による審査対象となる可能性があります。
そのため、対象会社の財務内容だけではなく、「タイ市場でどの程度のシェアを
持っているのか」という観点も重要になります。
 ◇日本企業同士のM&Aでも関係する?
実は、日本企業同士のM&Aであっても、タイ市場へ影響を与える場合には規制対
象となる可能性があります。
例えば、
・日本企業同士の統合
・グローバル企業同士の買収
・海外グループ再編
などであっても、両社がタイ国内で一定規模の事業を展開している場合には確認
が必要になります。
「海外案件だからタイ法は関係ない」と考えるのではなく、タイ市場への影響有
無を確認することが重要です。
 ◇2025年の最新動向
2025年には、タイ競争委員会(TCCT)が市場支配的地位に関する基準の見直しを
行いました。
従来よりも市場支配的事業者の判断基準が整理され、競争法上のリスク評価をよ
り明確に行う動きが進められています。
また、近年はデジタルサービスやプラットフォーム事業への関心も高まっており
、競争法の運用は今後も変化していくことが予想されます。
タイへ進出している企業にとっても、最新動向の把握は重要になっています。
 ◇日系企業で実務上論点になりやすいポイント
クロスボーダーM&Aでは、
・対象会社の市場シェア確認
・競争法DD(デューデリジェンス)
・当局届出要否確認
などが重要になります。
財務DDや税務DDは実施していても、競争法DDまで十分に確認できていないケー
スもあります。
その結果、買収後に追加手続きが必要となり、スケジュールに影響が出ることも
あります。
 ◇PMIにも影響する
競争法は買収成立前だけの問題ではありません。
PMI(買収後統合)においても、
・価格統一
・営業統合
・販売戦略統合
・顧客管理統合
などを進める際に注意が必要です。
特に同業買収の場合には、競争法上の論点が発生する可能性もあるため、法務・
税務だけでなく競争法も含めた全体設計が重要になります。
【FAQ】タイの取引競争法でよくある質問
Q. 外国人事業法(FBA)と何が違うのでしょうか?
外国人事業法は外資規制を目的としています。
一方、取引競争法は市場競争を維持することを目的としており、全く異なる法律
です。
Q. タイ企業を51%取得したら必ず届出が必要ですか?
いいえ。
出資比率だけではなく、市場シェアや売上規模なども考慮されます。
そのため、案件ごとに確認する必要があります。
Q. 日本企業同士のM&Aでも関係ありますか?
タイ市場へ影響を与える場合には関係します。
そのため、日本国内案件であってもタイ事業の有無を確認することが重要です。
 ◇タイ取引競争法クイズ
最後に、今回の内容に関連したミニクイズです! 復習も兼ねて、ぜひ挑戦してみ
てください!
【第1問】
タイの取引競争法(Trade Competition Act)が主に目的としているものはどれでし
ょう?
① 公正な市場競争の維持
② 外国企業の進出制限
③ 法人税の徴収強化
【第2問】
タイ企業を買収する際、取引競争法上で重要な確認事項となるものはどれでしょ
う?
① 市場シェア
② 従業員の平均年齢
③ オフィスの所在地
【第3問】
日本企業同士のM&Aであっても、タイの取引競争法が関係する可能性があるのは
なぜでしょう?
① タイ市場へ影響を与える可能性があるため
② 日本企業は全てタイ法の適用を受けるため
③ タイ法人を保有している企業は自動的に届出義務が発生するため
第1問 答え:① 公正な市場競争の維持
第2問 答え:① 市場シェア
第3問 答え:① タイ市場へ影響を与える可能性があるため
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回も、タイの制度・会計・M&A実務について発信していきます!
 ◇東京コンサルティングファームのサポート
東京コンサルティングファームでは、タイ進出やクロスボーダーM&Aを検討する
日系企業向けに、会社設立支援、会計・税務支援、法務支援、M&Aアドバイザリ
ー業務を行っています。
タイ企業の買収や現地法人運営に関するご相談がございましたら、お気軽にお問
い合わせください。
 ◇まとめ
タイの取引競争法は、日本の独占禁止法と似た役割を持つ法律ですが、企業結合
規制や市場シェアの考え方など、実務上の違いも存在します。
特にクロスボーダーM&Aでは、財務や税務だけでなく、競争法対応が買収スケジ
ュールやPMIに影響を与えることもあります。
私自身、タイ拠点業務に加えてM&A事業部も兼任する予定のため、今後もタイの
制度やクロスボーダーM&Aに関する情報を発信していければと思っております。
 
 ◇免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するもので
はありません。具体的な案件については専門家へご相談ください。

 

 

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株式会社東京コンサルティングファーム 名古屋拠点
片山眞沙


※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。
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