突然ですが、ルール変更です。
シンガポール労働省(MOM:Ministry of Manpower)より、下記リンクの通り、制度の変更が通知されました。
https://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/employment-pass/notify-mom-of-changes
内容は、EP(Employment Pass)保持者の登録情報の一つ、居住地(Residential Address)を、実際の住所でアップロードしなければならなくなった、というものです。
今回は、EPの実務について、このニュースとかかわる部分を見ていきましょう。
EP保持者の登録情報とは?
EPに限らず、S-PassやWork Permit for foreign workerなど、シンガポールで就労するための許可証はその期間や目的に合わせて、いくつか種類があります。
共通しているのは、これらがほかの在留許可、例えばLong-Term Visit Passなどと違い、個人が入局管理局(ICA:Immigration & Checkpoints Authority of Singapore)に申請するのではなく、企業が個人に代わってMOMに申請を行うという点です。
申請時にはEPOL(EP On-Line)というサイトに企業のID&パスワード、CorpPassを使ってログインし、その中で情報を入力することになりますが、これがいわゆるEP保持者の登録情報に当たります。
どんな情報の更新が必要?
端的にいえば、主に税務上影響のある数字について、変更があるたびに更新が必要になります。
具体的には、以下の情報の更新が求められます:
・パスポート番号(外国人にとっては最重要認証番号であるため)
・婚姻ステータス(扶養者補助があるため)
・給与情報(収入自体が変わるため)
・職位情報(MOMがシンガポール国内の労働者の需要と供給をチェックしているため)
・会社情報(経営が苦しいところが外国人を雇うと不正が行われる可能性があるため)
特に、給与情報に関しては、昇給する場合は情報更新の必要はありませんが、減給する場合は1か月以上前に以下のステップを踏んで許可を得る必要があります。
1.下げた後の給与でもEPなど就労許可が下りる範囲内であるか、自己査定ツール(SAT:Self-Assessment Tool)を用いてチェックする
2.EPOL上(または書面アップロードサイトiSubmit上)で申請(Request)を出す
今回の変更は?
今回、2018年9月14日から、上記更新が必要な情報に、個人のシンガポール居住地情報をアップロードする必要が出てきました。
実際に居住している場所をMOMに通知する必要が出てきたということであり、具体的には以下の状態の人に注意が必要です:
・プレハブなど、仮の住居に住んでいる(建設労働者には許可される)
・オフィスの住所を登録している
なお、住居として利用できる施設には住居適正条件(Housing Requirements)に合致していることが求められ、不適切とされる場所は登録することができませんので注意が必要です。
参考(MOMサイト):
現在上記状態で滞在している方は、早急にEPOL上で正しい住居での登録を行う必要があります。
また、住居が変更になった場合、シンガポール国内の移動であっても、14日以内にEPOL上で情報を更新する必要があります。
ホテル暮らしはダメ?
最後に、ホテルや最近人気のAirbnb、サービスアパートメントなど、仮住居(Temporary Accommodation)が居住地として登録できるかどうかという、グレーなゾーンをクリアにしておきます。
厳密には、シンガポールのこうした宿泊施設が上記住居適正条件に合致するかといえば、答えはNoです。できるだけ早く一般の定住地(Permanent Address、コンドミニアム等)に移り住み、一定期間の契約を結んで住所登録することが求められます。
ただし、仕事の関係上、住所の契約が難しい場合もあるため、実際にはホテル、サービスアパートメントなどで居住地を登録することも許容されています。
この場合、その従業員のシンガポール滞在が6か月以上であれば、例えばサービスアパートメントでもきちんと期間の定めを設けて契約を結び、長期間当該住居に居住することに対し許可を得る必要があります。(メールでの申請など:mom_fwas@mom.gov.sg)
ペナルティーがある?
罰金大国と呼ばれるシンガポール。例にもれず、この居住地情報更新の件も対象になります。
企業側と従業員双方に責任があるとして、未登録、情報更新の遅延、不正情報登録などが摘発された場合には、最大S$10,000の罰金が科せられます。
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