こんにちは、シンガポール駐在員の和久井です。
日本での雇用が冷え込む中、シンガポールでの雇用は比較的安定しており、不況の影響を若干受けつつも、シンガポール人材開発省によると、今年度3月失業率2.1%と過去11年間安定した数字が続いています。雇用増加数は雇用の最も多いサービス業の減少が今期は特に目立ち、前期より全体雇用増加数の27%へ低下したものの、続く建設ラッシュに伴い建設業の新規雇用が上昇傾向にあるため今後も安定するとの見込みです。ただし、シンガポール政府は外国人労働者の抑制を強化する新政策の年内実施を目指すとして、労働市場の改革の行方に各企業が注目しています。
就職先の選択肢がもてる労働者に対し、雇用側はシンガポールでの人材確保に掛かる負担に悩まされる会社は少なくありません。より優秀な人材を現地で雇用するにも、もともと最低賃金3,000SGDの平均額から、経済発展に伴い物価上昇および賃金上昇も懸念されるため、人材確保は日系企業のみならず国内、外資企業にとっても今後大きな支出と負担となっていきます。もちろん業種よって異なりますが、即戦力として外資企業が求めるデスクワーカーであれば語学や専門知識、経験のスキルが求めるのが殆どであり、被雇用者もそれに見合った支給を要求する傾向性にあります。また大手に勤めるここ最近の若い人達の傾向性として、2~3年で転職するのが目立ち、その為それに見合う人材を確保するにはより投資が必要となります。ローカルシンガポーリアンを採用するには、ビザ取得や住宅手当、税金など、外国人を雇うよりメリットは大きいように見えても、やはりマレーシア、インドネシア、ミャンマーなど近隣諸国からの人材を採用し、出来る限り負担を減らす方法を選ぶ企業も少なくないため、今後外国人労働者を必要とする企業にとって、シンガポール現地人の雇用確保に改革方針を政府がどの様に提示するかが今後大きな注目となるのです。
また企業側は、賃金よりも雇用者のニーズがどこに向かっているかというのが少なくとも注目すべき点かと思われます。大手を好む若者が多いのは確かですが、職場へ求めるものに、賃金は懸念事項にあるものの、それよりもチャンスが与えられているかを優先すると回答するひとも多く見受けられます。中小企業や新規企業にとって、社員育成に手間を掛けられないため即戦力を好む一方で、社員は会社からの指導や経験を求める受身傾向が強いため、雇用者と従業員間のニーズのバランスを如何に作るかが人材確保の課題となってきています。
以上