フィリピン労務②~従業員の解雇

労務

 

こんにちは!
東京コンサルティングファーム・マニラ支店の野島です。

前回はフィリピンにおける雇用契約書と就業規則の概要について書きました。今回はより詳しく、従業員を解雇する場合、気をつけなければならないことを書いていきます。

 

まずフィリピン労働法では正当な理由以外で、労働者を解雇するとこを禁止しています。正当な解雇理由として規定されているのは、人員の削減を行う場合、法で指定されている疾病に継続して患っている場合、労働者が就業規則や命令に著しく違反している場合等です。
しかし、上記のようにフィリピン労働法上では解雇手続きは認められているものの、労働問題が発生した際には、裁判や調停において会社側が不利な判決を受けることが多くあります。そのため、労働者を雇用する際には慎重な選考が求められると共に労働問題が発生しないようにしっかりと雇用契約書や就業規則を定めておくことが求められます。

 

労働者を正当な理由で解雇する場合は少なくとも雇用終了予定日の1ヶ月前までに、労働者及び労働雇用大臣に書面で通知しなければなりません。そしてケースによっては退職金や解職金を支払わなければなりません。

退職金や解職金は大きく3つのカテゴリーに分類されます。

 

➀定年退職
フィリピンでは5年以上勤務した従業員への定年退職金の支払いが義務付けられています。支払い金額は以下のようになっています。
法定支払金額=勤続年数×退職時の基本給0.5ヶ月分
となります。
※退職時の基本給0.5ヶ月分を厳密にいうと15日+2.5日(13ヶ月手当の12分の1)+5日(年次有給休暇)=22.5日分となります

 

②事業の閉鎖や人員余剰の理由で従業員を解雇する場合
この場合も解職手当が発生します。まず重要になってくるのは、解職手当について就業規則にどのような記載があるかがポイントになります。記載がある場合はそれに従う必要があります。記載がない場合は労働法に従い、
1ヶ月分の給料または継続勤続年数×0.5ヶ月分の給料の額のいずれか多い方を支払わなければなりません。
勤続年数の計算方法としては
6ヶ月の勤務は1年と見なされます。例えば勤続年数が3年6ヶ月の場合は4年として計算されます。
また、事業の閉鎖の場合、従業員がグループ企業内への転籍が決まっていても解職手当は支払わなければなりません。

 

③横領など職務規範に違反した従業員を解雇する場合
この場合には懲戒解雇という形をとることができます。解職手当も必要なく解雇することができます。

 

上記が従業員を解雇する際に気を付ける点でございます。
弊社では、雇用契約書や就業規則の雛形の提供も行っております。
ご不明点ございましたら無料相談もしておりますので
ぜひオフィスにお越しください。

次週もお楽しみください!

 

 

東京コンサルティングファーム フィリピン・マニラ拠点
野島洋孝

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTOKYO CONSULTING FIRM PHILIPPINE BRANCH)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承ください

関連記事

ページ上部へ戻る