マニラの治安について

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

フィリピン視察に来られる方からよく聞かれる内容の1つに、フィリピン・マニラの治安というものがあります。今週はマニラの治安について、お話させて頂きます。

私は20代の頃、1年半ほど西ヨーロッパ~北アフリカ~インド~東南アジアと1年半ほどバックパッカーをしていました。そんな経験もあり、アジアや海外での生活環境に対するある程度の知識と経験はあったのですが、昨年7月にマニラに赴任する前は少しナーバスになりました。それは、マニラの風評が原因だったかと思います。特定の何が怖かった、不安だったという訳ではないのですが、なんとなく「いいうわさを聞かない国」、それがマニラを代表するフィリピンだったような気がします。

それでも、人が生きている国ですし、日本人が普通に飛行機で行ける国なので、行ってみれば大したことはないだろう、と高をくくって赴任しました。結論から話しますと、マニラの治安は気を付けていれば大丈夫、だと思います。

なぜ、フィリピン・マニラに危険なイメージがあるかというと、1986年にフィリピンで発生した三井物産マニラ支店長誘拐事件(通称:若王子事件)が大きいと聞きます。確かに、この事件の内容はセンセーショナルであり、フィリピンが危険だという認識を促す要因の1つかと思います。しかし、事件は既に30年近く前のものであり、しかもこの事件は多額の身代金の支払によって被害者は解放され、けがはなかったというのが結末です。

私の個人的なイメージを話させて頂きますと、手塚治虫さんの漫画「ブラックジャック」などでマニラが出てくる際には、鉄砲を持ったマフィアが必ず一緒に出てきたように思います。安易なイメージですが、私にはそのイメージがどこかにありました。

フィリピンに長くおられる識者の方の話を聞くと、フィリピンは英語圏であるため地方の刺激的な事件が国外に伝わりやすい、ということがあるようです。また、他方では、もちろんフィリピンにも人情味溢れるいい話もたくさんあるのですが、そういう話はフィリピンには合わない(記事が売れない)ということで、はじかれてしまうようです。フィリピンは危険で刺激的な記事が似合う、そんな暗黙の了解があるのでしょう。

親日で南国、物価も安くて人も明るく陽気な方々がたくさんいるフィリピンの事を好きな方は多く、一度ご来比された方は、「あれ?聞いている状況と違うぞ。」というのが、大方の感想かと思います。

ただ、ご来比されて見て回る地域がメトロマニラのマカティだけですと、少し理解は狭いかとも思います。事実メトロマニラの観光地が多いマラテという地域では、ひったくりやスリ、強盗行為や器物破損行為が時おり発生しています。

実際にマラテの街を歩いてみると分かるのですが、貧困にあえぐストリートの方々も多くおり、危険なにおいはマカティの比にならないほど存在します。私の知り合いもマラテからの帰宅途中、レンタカーの窓ガラスを割られましたし、運転中に歩行者からこぶし大の石を投げつけられ、3日ほど入院をするかけがをしたという日本人駐在員も現実におります。

このような話を聞くと、マニラで生活する者としては改めてフィリピンはやはり怖いところなんだ、と再認識致します。防衛策を考えるなら、①夜は出歩かない、②繁華街には近寄らない、③話しかけてくる人には対応しない、④うまい話には裏があると思って信用しない、⑤飲み過ぎない、⑥羽目を外しすぎない、⑦多額のお金を持ち歩かない、などでしょうか。全て確実に遂行するとなると、人付き合いが難しいかもしれませんので、程よく頭のどこかで意識しておけば、適度に刺激的で適度に安全な生活を送れるのではないでしょうか。

発展国には「理由なき犯罪はない」と誰かが仰っていましたが、私もその意見には同感です。「理由なき犯罪」、これが一番怖いと思います。お金に困っている人が加害者ならば、最悪お金はある程度あげてしまいましょう。また、女性のトラブルは起こさないよう、気をつけましょう。当たり前のことを馬鹿にせずちゃんとやっていれば、マニラでもきっと快適な生活を送れるはずです。物価も安いですし。

今週も、どうぞ宜しくお願い致します。

以上

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