こんにちは、Tokyo Consulting Firm Philippine Branchの大橋 聖也です。
今回は、フィリピンにおける個人事業主の税務上の取扱いについてお話しします。
2018年の税制改正(TRAIN)を受けて、数点、変更事項もありますのでご注意下さい。
個人事業主がフィリピンで適切に税務コンプライアンスを順守する場合、主に2パターンあります。
➀年間売上高が、3,000,000phpを超えない場合
2018年からTRAINによって、年間売上高が3,000,000phpを超えない個人事業主の場合は、納税方法を以下の2通りから選択することが可能となります。
また、VAT事業登録が必要となる基準が、年間売上高1,919,500php超から3,000,000php超へと引上げられた為、この場合は12%のVAT対象外となります。
(イ)
総売上高とその他の収入額の総額のうち250,000PHPを超えた額に対して、8%の税率を適用して申告額を計算する方法
*(イ)を選択する場合は、BIRへ申請手続きが必要となります。
(ロ)
課税所得に対して累進税率を適用した額と、総売上高に対して3%のPercentage Taxを適用した額の総額を申告額として計算する方法
さらに、従前は四半期売上高が150,000phpを超えた場合は、SECへ監査済み財務諸表の提出が求められ、年次の法定監査の対象となっていましたが、同様に年間売上高3,000,000phpを超えた場合のみ法定監査の対象へと変更になりました。
②年間売上高が、3,000,000php超える場合
年間売上高が3,000,000phpを超える場合は、以下のようになります。
・課税所得に対して累進税率を適用した額(0%~35%)
・12%VAT
・年次の法廷監査
2018年から適用された累進税率の新しいブラケットは下記の通りとなります。
課税所得 |
料率 (1/1, 2018 – 12/31, 2022) |
Php 250,000 or less |
0% |
Over Php 250,000 to Php 400,000 |
20% in excess of Php 250,000 |
Over Php 400,000 to Php 800,000 |
Php 30,000 + 25% in excess of Php 400,000 |
Over Php 800,000 to Php 2,000,000 |
Php 130,000 + 30% in excess of Php 800,000 |
Over Php 2,000,000 to Php 8,000,000 |
Php 490,000 + 32% in excess of Php 2,000,000 |
Over Php 8,000,000 |
Php 2,410,000 + 35% in excess of Php 8,000,000 |
その他、個人事業主も法人と同様に、年次登録の更新(500php)や拡大源泉徴収税(EWT)、そして地方政府への年次営業許可書の更新が必要になってきます。
最後に、昨年9月より弊社フィリピン本の第2版が、出版されました。
フィリピンへの進出実務を最新の情報にアップデートすると共に、
弊社フィリピン拠点における6年間のコンサルティング実務の経験を盛り込んでまとめ直したものとなります。
中でも本著はフィリピンの基本的な投資環境から、設立法務、会計税務、人事労務、M&Aに至るまでフィリピンでのビジネス展開に必須な情報を網羅的に収録していますので、
是非、本屋又は弊社宛にお問合せ頂き、手に取っていただけますと幸いです。
今週もどうぞよろしくお願い致します。
Tokyo Consulting Firm Philippine Branch
大橋 聖也