こんにちは、Tokyo Consulting Firm Philippine Branchの大橋 聖也です。
今回は、フィリピンにおける機能通貨についてお話しします。
機能通貨(Functional Currency)の定義とは、「企業が営業活動を行う主たる経営環境の通貨」とされています。
企業がどの通貨を機能通貨とするかは、取引上の表示通貨及び決済通貨となる取引価格を規定する経済圏の通貨を基準 にして、どの通貨が企業の業績を最も忠実に反映するかという点から決定します。
具体的には、販売価格に主に影響を与える通貨、商品やサービスを提供する際に発生する原価に主に影響を与える通貨、または資金調達や運用などの財務活動で使われる通貨が実態をより正確に反映するための機能通貨として決定することになります。
機能通貨表記にすることで、ペソ建てで記帳を行っていた場合に比べ、外貨取引の都度及び毎月末に債権債務を換算替えすることによる外国為替差損益の影響を受けずに済み、また会計上のミスも防ぐことができます。
また法定監査の際に、機能通貨に対応していない企業に対して財務諸表の適正性について監査人より指摘を受けるケースもあります。
一方で、税務上の、各種申告時は以前としてペソで行われるため、毎月の申告や確定申告はペソ建て表記の財務諸表が求められますので、要注意です。
その際は、フィリピン中央銀行(BSP)のレートを使用することになります。
よって、会計は機能通貨、税務はペソとなるため、多通貨での記帳や報告が出来る会計システムを導入はマストと言えます。
また、機能通貨の申請及び変更手続きは、法人の財務報告全般を管轄するSEC はペソでの財務報告を基本としておりますので、ペソ以外の外貨 (USD、日本円等)を機能通貨とする場合、期末日から30日以内(会社立上げ時などの初回は45日以内)にSECへ変更申請を行う必要があります。
機能通貨を外貨から別の外貨へ変更することも可能ですが、その場合も同様の申請手続が求められます。
最後に、昨年9月より弊社フィリピン本の第2版が、出版されました。
フィリピンへの進出実務を最新の情報にアップデートすると共に、弊社フィリピン拠点における6年間のコンサルティング実務の経験を盛り込んでまとめ直したものとなります。
中でも本著はフィリピンの基本的な投資環境から、設立法務、会計税務、人事労務、M&Aに至るまでフィリピンでのビジネス展開に必須な情報を網羅的に収録していますので、
是非、本屋又は弊社宛にお問合せ頂き、手に取っていただけますと幸いです。
今週もどうぞよろしくお願い致します。
大橋 聖也