皆さん、こんにちは!東京コンサルティンググループ フィリピン拠点の塚田涼太です。いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
今回は「フィリピン電気料金のシステムロス料金へのVAT撤廃」について説明いたします。
1. 何が起きているのか ― System Loss ChargeのVAT除外が正式発行
フィリピン内国歳入庁(BIR)は2026年9月14日、Revenue Memorandum Circular(RMC)No.97-2026を発出し、電力規制委員会(ERC)Resolution No.26, Series of 2026を回状化しました。
これにより、電気料金請求書に含まれる「System Loss Charge(システムロス料金)」のうち、ERCが承認した上限内の部分は、VAT計算上のGross Salesから除外される政府指定の転嫁費用(パススルー費用)として正式に取り扱われることになりました。2026年9月上旬の週次レポートで「準備中」としてお伝えしていた措置が、今回正式な通達として発行された形です。
2. 制度の背景 ― System Loss Chargeとは何か
System Loss Chargeとは、送電・配電の過程で生じる電力損失分のコストを、電力会社が利用者(需要家)に転嫁する料金項目です。従来はこの料金も含めた電気料金全体がVAT課税対象の売上として扱われていましたが、ERCが承認する上限の範囲内であれば、利用者の負担を軽減する政策の一環として、VAT計算から除外することが決定されました。
本措置は、マルコス政権が進める物価・公共料金の負担軽減策の一環として位置づけられており、2026年6月に発行されたRMC No.60-2026(ライフライン補助金等のVAT免除)の延長線上にある措置と言えます。
3. 日系企業への影響と確認しておきたいポイント
- 対象事業者発電会社(Gen Cos)、National Grid Corporation of the Philippines(NGCP)、配電会社(Distribution Utilities)、電力協同組合など、電気料金の請求を行う事業者が直接の対象です。
- VATの取扱いERC承認上限内のSystem Loss Chargeには、Output VATおよびVATに係る源泉徴収税(Creditable Withholding on VAT)が課されなくなります。
- 所得税は対象外本措置はVATのみの取扱いであり、所得税および対応する源泉徴収税には影響しません。
- 請求書表示の義務System Loss Chargeは、請求書・インボイス等において他の料金項目と区別して別途明示する必要があります。
- 適用時期本通達は将来に向けて(prospectively)適用され、遡及適用はありません。
- 実務対応電力会社を子会社・取引先として持つ日系企業、または自社で複数拠点の電気料金を管理する企業は、請求書の表示形式や会計処理(Gross Salesの算定)に変更が生じていないか確認することをお勧めします。
4. まとめ
BIRはRMC No.97-2026により、ERC承認上限内のSystem Loss ChargeをVAT計算上のGross Salesから除外することを正式に決定しました。電力会社にとっては請求書表示・会計処理の対応が必要となり、電力消費者にとっては電気料金の実質的な負担軽減につながる措置です。
フィリピンで事業を行う日系企業においても、電気料金請求書の表示内容や、電力関連の税務処理に変更がないか確認しておくとよいでしょう。
※本記事は、フィリピンに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。また、記事中の情報はBIR公表資料に基づくものであり、今後変動する可能性があります。
最後に
私たち「東京コンサルティングファーム」は、会計事務所を母体とした20ヵ国超に展開するグローバルコンサルティングファームです。フィリピンでは、日本人駐在員とローカルスタッフが常駐しており、会計、税務、労務、会社設立、PEZA登録、M&Aなど幅広い分野で日本企業の皆様をサポートしております。本稿に関するご相談はもちろん、税務コンプライアンス、VAT、公共料金関連のコスト管理に関するご不明点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。