フィリピン内国歳入庁(BIR)は2026年9月、Revenue Memorandum Circular(RMC)No.96-2026を発出し、CREATE MORE法の適用を受ける輸出型企業(EOE)が、DTI-EMBによるVATゼロ税率認証制度への移行期間中に負担したVATについて、還付を受けられる条件を明確化しました。
本記事では、この通達の内容と、日系企業が確認しておくべき実務上のポイントを解説します。
1. 何が起きているのか ― VATゼロ税率認証移行期間の還付要件を明確化
BIRはRMC No.96-2026により、CREATE MORE法の適用を受ける輸出型企業(Export-Oriented Enterprises, EOE)が、貿易産業省 輸出振興局(DTI-EMB)によるVATゼロ税率認証制度への移行期間中に負担したVATについて、還付を受けられる条件を明確化しました。フィリピンでPEZA登録等により輸出型事業を行う日系企業にとって、直接関わりのある通達です。
2. 制度の背景 ― CREATE MORE法とVATゼロ税率認証の導入
CREATE MORE法の下、フィリピン国内で事業を行う登録輸出企業は、一定要件を満たせば国内仕入・輸入取引に係るVATがゼロ税率となる優遇を受けられます。この優遇の適用を受けるためには、従来のPEZA・BOI等の投資促進機関による認定に加え、新たにDTI-EMBが発行するVATゼロ税率認証の取得が要件化されました。
しかし、この認証制度が導入されて間もない移行期間中(2024年11月28日〜2025年12月31日)は、認証の発行日が企業ごとにばらつき、認証取得前に発生した取引についてVATが通常課税(12%)のまま転嫁されるケースが生じていました。RMC No.96-2026は、この移行期間中に発生したVATの取扱いを整理するものです。
3. 日系企業への影響と確認しておきたいポイント
- 還付対象となる期間移行期間中(2024年11月28日〜2025年12月31日)に発生した国内仕入・輸入取引に係る転嫁VATが対象です。
- 還付の前提条件対象企業が移行期間内にDTI-EMBのVATゼロ税率認証を実際に取得していることが必要です。認証の取得日・有効開始日を必ず確認してください。
- 認証未取得の場合の取扱い認証を取得できなかった場合、翌年度分のVAT還付は受けられませんが、未使用の仕入税額控除(input VAT)は繰り越して将来のVAT債務に充当することが可能とされています。
- 実務対応該当する可能性のある企業は、①DTI-EMB認証の取得状況・日付の確認、②移行期間中の転嫁VATの洗い出しと証憑の整備、③未取得の場合は繰越控除としての活用可否の検討、を早めに進めることをお勧めします。
- 関連通達一部報道ではRMC No.96-2026がRMC No.37-2025を改正するものとされています。実務判断にあたっては、この関連通達も含めBIR公式の一次資料でのご確認をお勧めします。
4. まとめ
BIRはRMC No.96-2026により、CREATE MORE法対象の輸出型企業(EOE)が、DTI-EMBのVATゼロ税率認証への移行期間中に負担したVATについて、認証取得を条件に還付を受けられることを明確化しました。フィリピンで輸出型事業を展開する日系企業においては、DTI-EMB認証の取得状況の確認と、移行期間中の転嫁VATの整理が重要な対応事項となります。
※本記事は、フィリピンに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。また、記事中の情報はBIR公表資料及び報道に基づくものであり、今後変動する可能性があります。
最後に
弊社では、フィリピンにおける会計・税務をはじめ、税務コンプライアンス、VAT還付、投資インセンティブに関する実務支援を行っております。本稿に関するご相談はもちろん、ご不明点がございましたらぜひお気軽にお問い合わせください。