フィリピンでは2026年6月にAEP(外国人就労許可)の処理がDOLE本部へ完全に一元化され、続く9月にはオンライン申請が完全義務化されました。あわせてPEZA登録企業向けの経過措置も整備されています。
本記事では、これらの制度変更の内容と、日系企業が確認しておくべきポイントを解説します。
1. AEP・PEZAビザの現状 ― 概要・対象者・取得フロー
AEP(Alien Employment Permit)とは、外国人がフィリピン国内で就労するために労働雇用省(DOLE)から取得が義務付けられている就労許可証であり、入国・在留資格であるビザとは異なる制度です。フィリピンで雇用契約に基づき就労する外国人は、一部の特別な地位のビザ保有者等を除き、原則としてAEPの取得対象となります。
フィリピンで就労するためには、DOLEが所管するAEP(就労許可)と、就労を伴う入国・在留資格(いわゆる9(g)特別非移民ビザ等の労働ビザ)という、担当機関の異なる二つの手続きが必要となります。AEPはあくまで「就労すること自体の許可」であり、入国・在留を認める「ビザ」とは別の制度であるため、いずれか一方の取得だけでは就労は認められません。
取得の大まかな流れは、①雇用主による求人公示等の要件確認、②雇用契約書・パスポート・資格証明などの必要書類の準備、③DOLEへの申請、④審査、⑤AEPの発給、という順序で進みます。
PEZA(フィリピン経済区庁)登録企業に勤務する場合は、通常このAEPの取得と並行・前後して、PEZAビザ(9(g)特別非移民ビザに相当)を、移民局から権限の委任を受けたPEZAが発給する流れとなります。
2. 今回の変更の内容 ― 一元化・オンライン化・PEZA経過措置
2026年6月8日付でDOLEはAdministrative Order No.199を発出し、翌6月9日付で、AEPの新規・更新申請、免除・除外申請、審査・発給までのすべての業務を、地方事務所からDOLE本部(雇用局)に完全に一元化しました。これに伴い、全国の地方事務所はAEP関連業務の受付を停止しています。
さらに2026年9月3日からは、新規・更新・免除・除外を含むすべてのAEP申請について、DOLEの一元化オンライン申請ポータルからの提出が完全に義務化されました。メール・書面・窓口持参での申請は受け付けられなくなり、進捗確認や問い合わせについても指定チャネルのみで対応する「ゼロコンタクト方式」に移行しています。
一方、2026年8月26日からは、PEZA登録企業を対象とした経過措置も発表されました。AEPがDOLEで審査中(未発給)であっても、PEZAビザ(新規・更新)の申請自体は先行して受付・処理が可能となる取り扱いです。
3. 日系企業への影響と確認しておきたいポイント
- 手続き変更への対応従来の地方事務所や書面ベースの手続きでは申請が受理されないため、オンラインポータルへの移行対応が必須です。
- 審査遅延の可能性本部への業務移管に伴うバックログ処理により、当面の間、審査に遅延が生じる可能性があります。駐在員の着任・更新スケジュールへの影響に注意が必要です。
- PEZA登録企業とそれ以外での違いPEZA登録企業は経過措置により一定の柔軟性がありますが、非PEZA企業はAEPの審査完了を待つ必要があり、対応に差が生じます。
- 問い合わせ方法の変更ゼロコンタクト方式への移行により、進捗確認や問い合わせは指定チャネル経由に限定されるため、社内の対応フローの見直しが必要です。
4. 今後の動きと日系企業がすべき対策
DOLEは制度の定着に向けて、PEZAロケーター企業向けのグリーンレーンの周知やデジタル決済の案内など、広報活動を継続しています。移行期間中の運用実態や追加ガイドラインの発出動向については、引き続き注視が必要です。
- オンラインポータル対応現在申請中、または今後申請を予定しているAEPについて、オンラインポータルでの提出体制が整っているかを確認する。
- スケジュール管理駐在員の着任・更新スケジュールに余裕を持たせ、前倒しでの申請を検討する。
- PEZA登録の確認自社(または関係会社)のPEZA登録の有無を確認し、経過措置の適用可否を把握する。
- 社内フローの整備ゼロコンタクト方式に対応した、社内の問い合わせ・進捗確認フローを整備する。
5. まとめ
フィリピンでは2026年6月のAEP処理の完全一元化に続き、9月にはオンライン申請の完全義務化が実施され、あわせてPEZA登録企業向けの経過措置も整備されました。日系企業においては、手続き変更への対応と審査遅延を見込んだスケジュール管理が、これまで以上に重要になっています。
※本記事は、フィリピンに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。また、記事中の情報は執筆時点の報道・公表資料に基づくものであり、今後変動する可能性があります。
最後に
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