フィリピン内国歳入庁(BIR)が進める電子インボイス制度について、対象事業者の対応期限である2026年12月31日まで、残り4か月となりました。2026年8月25日、BIRは主要な経済団体や会計・税理士団体(BIR-PMSG)との公聴会を実施し、運用・承認手続きの最終調整となる「電子請求書発行ガイドラインに関する歳入省令通達案(Draft RMC)」を提示しました。
本記事では、この最新の動きを踏まえ、日系企業が自社のERPや会計システムで今すぐ確認・着手すべき実務上のポイントを分かりやすく解説します。
1. なぜ今、フィリピンの電子インボイス(EIS)対応を急ぐ必要があるのか
BIRはRR No. 26-2025において、Large Taxpayers Service(LTS)管轄の納税者およびEOPT Act上Large Taxpayerに分類される納税者、CAS(コンピュータ化会計システム)/CBA導入企業、およびeコマース事業者等を対象とした電子インボイス発行要件への対応期限を2026年12月31日と定めました。
8月に提示されたDraft RMCでは、システム開発からBIRのテスト環境(Sandboxing)での事前承認、および「PTT(Permit to Transmit:送信許可)」の取得までに、通常数ヶ月のテスト期間を要することが前提となっています。直前になってからの開発・申請では、期限に間に合わないリスクが非常に高くなっています。
2. 直近のDraft RMCで明確になった実務上の要件
2026年8月末のパブリックコンサルテーションで共有された、主な運用実務のポイントは以下のとおりです。
- Draft RMCで示された電子売上報告の方向性電子売上データについては、規定されたJSON形式でBIRのEISへ送信する仕組みが示されています。ただし、本記事執筆時点ではDraft段階の内容を含むため、正式なRMC発行後に最終的な送信期限・仕様を確認する必要があります。
- PTT(送信許可)の取得Draft RMCでは、自社システム(ERP等)またはサードパーティ製サービスからBIRへ直接データを送信する場合、事前のアカウント登録と接続テストを完了し、PTTを取得する手続きが示されています。
- CREATE MORE Actによる追加所得控除Electronic Sales Reporting Systemの導入に要した一定の費用について、Micro・Small Taxpayerは100%、Medium・Large Taxpayerは50%の追加所得控除を受けられる制度が設けられています。
3. 日系企業が「今すぐ」準備すべき3つのステップ
① 自社システム(SAP・Oracle等)の電子インボイス対応状況を確認
現在運用しているCAS/CBAや基幹システム(ERP)が電子インボイス発行要件に対応できるか確認するとともに、今後の電子売上報告に備え、Draft RMCで示されているEIS API仕様(JSON形式)への対応可否についてもベンダーへ確認しておくことをお勧めします。
②「紙ベース」と「電子データ」の運用フローの整理
自社が発行するインボイスだけでなく、取引先(ベンダー)から受領する電子請求書をどのように保存・検証(データの整合性チェック)するか、社内購買・経理プロセスの見直しが必要です。
③ 税務アドバイザーおよびITベンダーとの早期協議
BIRの承認手続き(PTT取得等)には、システム構築だけでなく税務面での申請書類作成やテスト運用が伴います。実績のある専門家とともに、年内のロードマップを策定しましょう。
まとめ:フィリピン電子インボイス導入に向けた今後の展望
BIRによる電子請求書(EIS)の導入は、単なる形式的な手続き変更ではなく、フィリピンにおける企業の税務コンプライアンス管理を劇的に変える改革です。
2026年12月31日の期限間際での混乱を避け、円滑な移行と追加所得控除のインセンティブを最大限活用するために、ぜひ今月からの準備着手をお勧めいたします。
※本記事の内容は2026年8月末時点のBIR公開情報およびDraft RMCに基づいており、今後正式発行されるRMCにより細部が変更される可能性があります。
最後に
弊社では、フィリピンにおける税務・会計コンプライアンス対応をはじめ、電子インボイス制度への対応や会計システム運用に関する実務支援を行っております。自社が電子インボイスの対象となるか、また現在利用している会計・ERPシステムでどのような対応が必要となるかお困りの際は、お気軽にご相談ください。