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【フィリピンBPO最新動向】「安さ」から「高付加価値」へ。AI共存時代におけるアウトソーシング活用の新常識

2026.08.11 投資環境 経営

皆様、こんにちは!東京コンサルティングファーム フィリピン拠点の古谷です。フィリピン経済を牽引する巨大産業であるIT-BPM(ITおよびビジネス・プロセス・マネジメント)/ BPO業界。

近年、「AIの進化によってコールセンターの仕事が奪われるのではないか」という議論が世界中でなされてきました。しかし、現地ビジネスの現場において見られるのは、「AIによる衰退」ではなく「AIを活用した急速な進化(ハイブリッド化)」です。

今回は、年間売上高が約380億米ドル、直接雇用者数が182万人に達したフィリピンIT-BPM業界の最新トレンドと、日系企業がこれをどう活用すべきか、実務的な視点から解説します。

1. 数字で見るフィリピンBPO業界の現在地

フィリピンIT-ビジネスプロセス協会(IBPAP)が公表したデータによると、フィリピンのIT-BPM業界は2024年に売上高・雇用者数ともに前年比約7%増となり、引き続き成長を続けています。

「単なる安い労働力の確保(コスト削減目的)」から、「高度な業務パートナーの獲得(戦略的活用)」へと企業の目的が大きく変化しています。

2. フィリピン進出・オフショア開発で押さえておくべき「3つの最新トレンド」

① AIは「代替」ではなく「拡張(Augmentation)」のツールへ

生成AIやチャットボットの導入が進んだことで、単純なデータ入力や一次回答などの定型業務は自動化されました。

しかし、それによってフィリピン人スタッフが不要になったわけではありません。現在は、AIが一次対応や情報抽出、回答候補の作成を支援し、人間が複雑な判断や顧客の感情に配慮した対応を担う運用が広がっています。AIを適切に活用することで、教育期間の短縮や業務品質、生産性の向上が期待されています。

② KPO(高付加価値業務)およびGCC(自社専用拠点)の拡大

コールセンター業務だけでなく、以下のような専門スキルの高いバックオフィス代行(KPO)の需要が拡大しています。

また、サードパーティ(委託先)への完全外注だけでなく、自社専属の機能拠点としてGCC(Global Capability Center)をマニラやセブに設立するグローバル企業が増加しています。

③ 地方都市(Next Wave Cities)への分散とリモート・ハイブリッド化

マニラ首都圏(BGCやマカティなど)のオフィス賃料や人件費の高騰、交通渋滞を避けるため、クラーク、セブ、ダバオ、イロイロ、バコロドといった地方都市への拠点分散が進んでいます。パンデミック期に普及した在宅勤務を背景に、現在も多くの企業でリモート・ハイブリッド型の勤務が活用されています。

ただし、経済区登録企業や税制優遇を受ける企業については、リモートワーク比率に関する最新の税制優遇枠組み(CREATE関連法案等)の要件を個別に確認する必要があります。

3. 日系企業・現地進出企業が取れる実務アプローチ

このようなBPO業界の変化を踏まえ、現地で事業を展開する日系企業や、日本からフィリピンへオフショア移管を検討している企業はどのような戦略をとるべきでしょうか。

アプローチ①:日本語+英語のハイブリッド対応チームの構築

フィリピンでは、業務で日本語を使用できる人材の採用競争が続いています。必要な日本語レベルは業務内容によって異なりますが、顧客折衝や最終レビューには高い日本語能力が求められるため、英語人材のみの場合と比べて人件費が高くなる傾向があります。

全業務を日本語人材で構成すると人件費が大幅に上昇する可能性があるため、「顧客対応や最終確認のみ日本語人材」「バックエンド処理やAI活用作業は英語人材」というチーム設計を行うことで、高品質かつ低コストな運用が可能になります。

アプローチ②:EOR(雇用代行サービス)やオンライン秘書(VA)の活用

EOR(Employer of Record:雇用代行サービス)とは、現地事業者が法的な雇用主となり、雇用契約、給与計算、社会保険、源泉税などの雇用管理を担います。一方、VAは、特定の事務作業やアシスタント業務を外部サービスとして利用する形態です。

いずれも迅速な体制構築に有効ですが、契約内容、実際の指揮命令関係、機密情報の管理、税務上の恒久的施設リスクなどを事前に確認する必要があります。

フィリピン進出の成功を左右するBPOの戦略的活用

フィリピンのBPO業界は、かつての「電話を受けるオペレーターの集団」から、「最新AIツールを使いこなすデジタル・プロフェッショナル集団」へと脱皮を果たしました。

人手不足やDX推進に悩む企業にとって、フィリピンのBPOリソースをいかに自社の業務プロセスに組み込めるかが、今後のコスト競争力と業務スピードを左右するカギとなります。

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

最後に

フィリピンのBPO・IT-BPM産業は、単なるコスト削減のためのアウトソーシング先から、AIや専門人材を活用した高付加価値業務の拠点へと変化しています。

弊社では、フィリピン進出支援をはじめ、現地法人設立、人事・労務、会計・税務、バックオフィス体制の構築など、フィリピンでの事業運営を幅広くサポートしております。フィリピンでのBPO活用や業務移管をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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