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【フィリピン税務】Input VATとOutput VATの基本と実務・インボイスの注意点

2026.08.03 税務 会計

皆様、こんにちは!

東京コンサルティンググループフィリピン拠点の古谷桃可です。

フィリピンでは、多くの企業が付加価値税(Value-Added Tax:VAT)の納税対象となります。会計処理や税務申告を行う際によく耳にするのが「インプット(Input) VAT」と「アウトプット(Output)VAT」です。VATは日本の消費税と似た制度ですが、実務では「インプットVATが控除できない」「アウトプットVATを計上するタイミング」など、日本とは異なる点も少なくありません

今回は、インプットVATとアウトプットVATの基本的な考え方から、フィリピン実務で注意すべきポイントまで解説します。

  1. VAT(付加価値税)とは

VAT(Value-Added Tax)は、日本の消費税に相当する税金です。フィリピンでは、原則としてVAT登録事業者(VAT Registered Person)が課税対象となる商品やサービスを販売した際に12%のVATを徴収し、仕入時に支払ったVATとの差額をBIRへ納付します。つまり、VATは原則として企業ではなく最終消費者が負担する税金となります。

2.アウトプットVATとは

アウトプット(Output)VATとは、VAT登録事業者が商品の販売やサービスの提供をした際に顧客から受け取るVAT(売上VAT)を指します。

例えば、請求の内訳が

・販売価格   100,000ペソ

・VAT(12%) 12,000ペソ

・請求総額   112,000ペソ

の場合、

・売上:100,000ペソ

・Output VAT:12,000ペソ

となります。

この12,000ペソは会社の利益ではなく、一時的に預かっている税金であり、後日VAT申告時にBIRへ納付することになります。

3.インプットVATとは

インプット(Input)VATとは、商品やサービスを購入した際にサプライヤーへ支払うVAT(仕入VAT)です。

例えば、支払いの内訳が

・仕入価格   50,000ペソ

・VAT(12%) 6,000ペソ

・支払総額   56,000ペソ

の場合、

・仕入:50,000ペソ

・Input VAT:6,000ペソ

となります。

この6,000ペソは、後ほどVAT申告時にBIRへの納税対象であるアウトプットVATから差し引くことができます。

4.VATの納付額の計算方法

VATの納税額は非常にシンプルです。

基本的には、「アウトプットVAT-インプットVAT=納付VAT」となります。

例えば、

・アウトプットVAT累計 120,000ペソ

・インプットVAT累計 80,000ペソ

であれば、

120,000 – 80,000

= 40,000ペソをBIRへ納付します。

逆に一定の要件に基づいて、Input VATの方が多い場合は、その差額は翌期以降へ繰り越すことができます。

5.インプットVATの控除要件

実務としてもっとも重要なのはBIRへの納付額を計算する時の控除できるインプットVATの見極めについてです。計上されているインプットVATは必ずしもすべてアウトプットVATから控除できるわけではありません。控除するためには、一定の要件を満たす必要があります。

控除要件の例:

・ VAT登録事業者であるサプライヤーから購入していること

・VAT インボイスが発行されていること

・VAT額が明記されていること

・事業に関連する支出であること

・VAT法上控除が認められる取引であること

これらを満たさない場合、控除可能なインプットVATとして認められず、費用処理となるケースがあります。

6.VATインボイスの重要性

フィリピンでは、VATインボイスがインプットVAT控除の根拠資料となります。単なるレシートや見積書だけでは控除できない場合があります。

また、発行されたInvoiceを有効とするには下記の情報が記載されている必要があります。

・会社名

・会社住所

・TIN

・VAT Registered表示

・VATの金額(内訳)

・Invoice番号

・日付

・商品、サービスの概要

・量、単価 など

近年は電子インボイス制度(EIS)の導入が進んでいるほか、2024年施行のEOPT法(納税者へのサービス向上法)によりサービス取引においてもVAT控除の証憑がインボイスに統一されたため、VATインボイスの重要性はさらに高まっています。

7.インプットVATが余った場合

設備投資などで大きなインプット VATが発生すると、アウトプット VATよりインプット VATが大きくなることがあります。その場合、一般的には翌期以降へ繰り越しますが、Zero-rated取引等の一定要件を満たす場合にはVAT還付を申請できるケースがあります。ただし、VAT還付は多くの資料提出が必要となるため、実務上は慎重な準備が必要となります。

8.実務上よくあるミス

実務では以下のようなケースがよく見受けられます。

BIR調査では、インプット VATの根拠資料は重点的に確認されるため、日頃から正確なインボイス管理を徹底することが重要です。

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

最後に

インプットとアウトプット VATは、フィリピンのVAT制度を理解するうえで最も基本となる概念です。アウトプットVATは顧客から預かったVAT、インプットVATは仕入時に支払ったVATであり、その差額をBIRへ納付します。一方で、インプット VATはすべてが控除対象となるわけではなく、VAT インボイスの保管や取引内容の適正性など、法令で定められた要件を満たす必要があります。

日々の経理処理や証憑管理を適切に行うことで、不要な税務リスクを回避し、BIR調査にも適切に対応できる体制を整えることができます。

弊社では、VAT登録・VAT申告・インプットVATのレビュー・BIR税務調査対応・VAT 還付支援まで幅広くサポートしております。フィリピンのVAT実務でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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