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フィリピンBIRのオープンケースとは

2026.08.03 税務

フィリピンで事業を行っている企業が、税務調査や会社清算、税務登録変更などの手続きを進める際、「Open Case(オープンケース)」という言葉を耳にすることがあります。「税務調査を受けていないから問題ない」、「税金は払っているから大丈夫」と思っていても、BIR(Bureau of Internal Revenue:内国歳入庁)のシステム上ではオープンケースとして登録されているケースは少なくありません。

今回は、フィリピンのBIRにおけるオープンケースの概要や発生原因、実務上の対応について解説します。

1.オープンケース(Open Case)とは

オープンケースとは、BIRのシステム上で未解決の税務コンプライアンス事項として管理されている案件を指します。必ずしも脱税や重大な違反を意味するものではなく、未提出の申告書や未納税額、システム上で申告・納付が確認できないもの、未完了の税務手続きなどが登録されている状態です。BIRでは、登録されている税目ごとに申告状況を管理しており、提出・納付が確認できない場合にはオープンケースとして残ることがあります。

BIRからオープンケースとして指摘を受けた場合、既に申告・納付を完了している場合であっても、その事実を証明するため、RDOから申告書や納付書等の証憑の提出を求められることがあります。適切な証憑を提出できない場合には、BIR上で未申告として扱われ、結果として延滞税やペナルティの対象となる可能性があります。

2.オープンケースが発生する主な原因

    1. 税務申告の未提出

      最も多いケースは税務申告の対応漏れです。フィリピンではVAT(付加価値税)、Income Tax(法人税)、Withholding Tax(源泉税各種)、Percentage Tax(パーセンテージ税)などがあります。登録されている税目について申告期限までに対応をしなかった場合、オープンケースとなります。売上が発生していない企業であっても、登録されている税目によっては申告義務が継続するため注意が必要です。
    2. 申告はしたがBIRのシステムに反映されていない
      意外と実務で多いのが、過去に期限内の申告対応はしたが、BIR側のシステムで反映されておらず、オープンケースとなっている場合です。例えば、eFPSやeBIRなどの税務申告用のオンラインプラットフォームで正常に送信できていない、納付情報との紐づけができていない、システムエラー、誤ったTINや納税期間で申告してしまった、などの要因によって、実際には適切に申告・納付を行っていてもBIRシステムでは未申告として扱われることがあります。
    3. 税務登録内容との不一致
      会社設立時や事業内容変更時に登録した税目と実際の事業内容が一致していない場合にもオープンケースが発生します。例えば、不要な源泉税の登録を削除していない、VAT登録の変更漏れ、事業停止後も登録が残っている、などが代表例です。
    4. 会社休眠・事業停止後の登録未抹消

    会社が実質的に営業していなくても、BIRへの事業終了届、税務登録の抹消等を行っていない場合は、毎期申告義務が継続し、年数分のオープンケースが積み上がることがあります。

    3. オープンケースがあるとどうなるか

    オープンケースを放置すると、次のような場面で問題となることがあります。

    ・Tax Clearanceの取得

    ・会社清算・事業廃止手続き

    ・RDO変更

    ・税務調査対応

    ・各種許認可の取得

    ・M&Aのデューデリジェンス

    また、未提出申告については延滞税や加算税、Compromise Penalty(和解罰金)などが発生する場合もあります。

    4. オープンケースがあるか確認する方法

    オープンケースは、登録先RDO(Revenue District Office)へ照会し、Open Case Listの確認を行います。確認時には通常、TIN、会社名、BIR登録情報などを基に照会が行われます。

    実務では、会社清算やTax Clearance取得前にオープンケースの有無を確認することが一般的です。

    5.オープンケースが見つかった場合の対応

    内容によって対応方法は異なりますが、一般的には以下の流れとなります。

    オープンケース一覧を取得

    →内容を確認

    →過去の申告書・納付書と照合

    →未提出であれば追加申告

    →システム上の未反映であれば証憑を提出し修正を依頼

    →必要に応じてペナルティを納付

    →ケースのクローズを確認

    重要なのは、BIRシステム上で「未提出」と表示されていても、実際には提出済みであるケースも少なくないことです。そのため、すぐにペナルティを支払うのではなく、eFPS受付通知、eBIR受領メール、電子納税証明、銀行納付記録などを社内で確認し、事実関係を整理したうえで対応することが重要です。

    ※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

    最後に

    オープンケースは、「税務調査を受けている」という意味ではなく、BIRシステム上で未解決となっている税務事項を指します。日頃から適切に申告・納付を行っていても、システム反映漏れや登録内容の不一致などにより発生することもあるため、定期的な確認が望まれます。特に、会社清算や組織再編、Tax Clearanceの取得などを予定している場合には、手続き直前ではなく早めにオープンケースの有無を確認し、必要な対応を進めることが重要です。

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    東京コンサルティングファーム フィリピン拠点 古谷 桃香

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