労務面において、企業の拠点・工場の所在地ごとに特に注意が必要となるのが、DOLE(雇用労働省)傘下の地域賃金生産性委員会(RTWPB)が発令する最低賃金(Minimum Wage)の改定です。
現在進行中の「2025年〜2026年賃金改定サイクル」において、多くの地域で賃金命令(Wage Order)が発令されております。これにより、全国の最低賃金労働者に広く影響が及ぶと見込まれています。
特に、マニラ首都圏(NCR)以外の主要地方都市や工業団地エリアでは、「段階的引き上げ(Tranche)」方式による追加改定が2026年に入ってから順次適用されている点が大きな特徴となっています。
主要地域(進出企業の多いエリア)の最新法定賃金
日系企業の進出が多い主要地域における、民間企業(非農業部門)の最低賃金参考レンジ(2026年5月時点)は以下の通りです。
マカティ、タギッグ、ケソン、パサイ等
₱658 ~ ₱695
2025年7月18日発効の現行レートが適用されています。
クラーク、パンパンガ、タルラック、バターン等
約 ₱515 ~ ₱600
地域・業種・企業規模等により適用額が異なります。
マカティ、タギッグ、ケソン、パサイ等
₱658 ~ ₱695
2025年7月18日発効の現行レートが適用されています。
クラーク、パンパンガ、タルラック、バターン等
約 ₱515 ~ ₱600
地域・業種・企業規模等により適用額が異なります。
カヴィテ、ラグナ、バタンガス、リサール等
約 ₱508 ~ ₱600
段階的引き上げが適用されているエリアがあります。
セブ、マンダウエ、ラプラプ等
約 ₱500 ~ ₱540
2025年後半の改定レートが継続適用されています。
カガヤン・デ・オロ等
約 ₱485 ~ ₱500
2026年の追加引き上げが一部地域で適用されています。
ダバオ等
約 ₱525 ~ ₱540
段階的引き上げスケジュールが設定されています。
※ 実際の適用賃金は、市区分・業種・企業規模等によって異なるため、各RTWPB発行のWage Order確認が必要となります。
2026年に実務担当者が直面する「2つの課題」
① 給与計算システム(マスター)の更新漏れリスク
各地域で異なるタイミング・内容で最低賃金の改定が実施されるため、自社拠点の所在地や適用区分を正確に把握し、給与計算システムやマスター情報を適切に更新する必要があります。特に、工業団地や複数地域に拠点を持つ企業では、地域別対応の漏れにより、意図せず法定最低賃金を下回ってしまうリスクもあるため注意が必要です。
② 賃金歪曲(Wage Distortion)とは何か?
賃金歪曲とは、最低賃金の引き上げにより、既存社員と最低賃金層との給与差が縮小し、社内の給与バランスが崩れる現象のことです。 DOLEでは、最低賃金改定に伴い発生する「賃金歪曲(Wage Distortion)」への対応を推奨しています。これを放置すると、従業員のモチベーション低下や離職リスクにつながる可能性があるため、企業ごとに給与レンジや等級制度を踏まえた調整が求められます。NWPC Advisory等でも、企業ごとの実態に応じた適切な対応が推奨されています。
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最後に
フィリピンでは、最低賃金改定や税務電子化対応など、企業に求められるコンプライアンス対応が年々増加しております。特に最低賃金については、地域ごと・発効日ごとに対応内容が異なるため、給与マスターや社内運用への反映漏れに注意が必要です。将来的な制度変更や追加改定にも対応できるよう、早期に現状を確認し、適切な運用体制を整備することが重要となります。
弊社では、税務システム対応からフィリピン特有の労務管理まで、進出企業のコンプライアンス体制構築をトータルでサポートしております。少しでもご不安がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。