2025年版:ミャンマー経済・投資環境③

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「2025年版:ミャンマー経済・投資環境③」についてお伝えします。

 

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目次

【2025年版:ミャンマー経済・投資環境③】

 

要約

  • 現行の基本枠組みは 2016年ミャンマー投資法(MIL)/2017年投資規則および 2017年ミャンマー会社法(MCL)です。2012年頃の説明は現行実務とは合致いたしません。
  • 税制優遇(法人税免除)はゾーン制で 7年/5年/3年に区分されます。
  • 土地は所有不可ですが、最長70年(50年+10年+10年)の長期リースが可能です。SEZ内は最長75年(50年+25年)が一般的です。
  • 禁止・制限分野は告示で細分化されており、「一律禁止」の整理ではございません。
  • 一律の最低資本金要件は原則なし(MCL)。ただし 卸小売(WRT)等は別途の投資額要件が定められております。
  • 外為規制は2022年以降に大きく変更され、実務上は 中央銀行通達とAD銀行運用の遵守が不可欠です。

現行法の位置づけ

 現在の投資および会社スキームは、2016年制定の投資法(MIL)と2017年の投資規則、そして会社の設立・管理を定める2017年の会社法(MCL)を基礎として運用されています。
 MCLの規定では、外国資本の持分が35%以下であれば「ミャンマー会社」として扱われる点が重要です。会社登記は「MyCO」というオンラインシステムを通じて行います。


税制優遇(インセンティブ)

 投資に対する優遇措置は、地域の開発状況に応じたZone 1/2/3の区分に基づいて付与されます。これにより、法人税の免除期間はそれぞれ7年・5年・3年となっています。対象となるのは「Promoted Sector」に該当する事業であり、実際に優遇を受けられるかどうかは、立地(ゾーン)と業種の組み合わせを事前に確認する必要があります。
 また、建設期間中に輸入する機械や資材などについては、関税免除の措置を併用することも可能です。


土地・SEZ(長期利用の設計)

 外国資本による土地の所有は認められていませんが、MIC(投資委員会)の許認可(PermitまたはEndorsement)および「Land Rights Authorisation(LRA)」を取得することで、50年+10年+10年の最長70年間のリース契約が一般的に認められています。
 また、ティラワなどのSEZ(特別経済区)では、50年+25年の最長75年間のリースが可能です。契約の権利保全(登記)や許認可の取得順序については、計画の初期段階で設計しておくことが望ましいです。


禁止・制限分野(現行の整理)

 現在の制度では、通達により分野が細かく区分されています。国家(Union)のみが実施可能な分野、外国投資が禁止されている分野、ミャンマー側との合弁が義務付けられている分野、そして主管官庁の事前承認が必要な分野などがあります。
 過去に「放送・新聞・銀行・保険などが一律で外資禁止」といった表現が見られましたが、現行制度では必ずしもそうではありません。実際の適用範囲については、個別条項を精査することが不可欠です。


最低資本金の取扱い

 MCLの一般規定としては、一律の最低資本金要件は設けられていません。ただし、卸売・小売業(WRT)など、一部の分野では所管省の通達により最低投資額が定められています。
 また、外資100%か合弁企業(ミャンマー資本を一定割合含む)かによって、必要な投資金額の基準が異なります。小規模小売業においては、床面積などの基準に基づく制約もあるため、制度への適合性を事前に確認することが重要です。


外為・送金(2022年以降の実務)

 2022年以降、ミャンマー中央銀行(CBM)の通達により外為管理が強化されています。外貨収入の一定割合については現地通貨への強制転換が求められ、配当・ロイヤルティ・資本返還などの送金には承認手続きが必要です。
 これらの手続きはAD銀行(認可銀行)を通じて厳格に運用されています。MIL上では投資家の送金権が規定されていますが、実際の運用はCBMの通達や銀行の実務に従う必要があります。そのため、計画段階から資金の流れや証憑、承認プロセスを明確に設計しておくことが推奨されます。


旧情報からのアップデート(要点比較)

 過去の制度と比較すると、以下のような変更があります。

  • 免税期間:一律5年から、ゾーン制により7年/5年/3年へ変更されました。
  • 土地リース:30年+延長から、50年+10年+10年の最長70年(SEZでは50年+25年の最長75年)に拡充されました。
  • 雇用比率:以前は固定のローカル比率が義務付けられていましたが、MILでは固定比率の規定がなくなりました(ただしSEZでは段階的な比率が定められています)。
  • 資本金:一律の定額要件は廃止され、一般的な最低資本金規定はありません。ただし、WRTなど一部分野では別途要件があります。
  • 外為:以前は「引出上限」に関する説明が中心でしたが、現在はCBM通達に基づく承認手続きや強制転換、銀行運用が中心となっています。

 

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株式会社東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点
近藤 貴政


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