
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「2025年版:ミャンマー経済・投資環境②」についてお伝えします。
目次
【2025年版:ミャンマー経済・投資環境②】
要約
- 為替は“名目一本・実質多重”:公示2,100MMKに対し並行市場は大きく乖離。強制両替は**25%**まで段階緩和。(Tilleke & Gibbins)
- FDIは選別流入:エネルギー大手の撤退後、2024/25年度の承認額は約6.9億USDにとどまる。(english.news.cn)
- 運用上の最大リスクは、為替規制+電力・通信の可用性+国境の不確実性(タイ側の電力・通信遮断など)。(Reuters)
為替レート
ミャンマーの公示レートは、2022年8月に1USD=2,100MMKへ引き上げられました。一方で並行市場との乖離が続いており、2024年には1USDあたり4,500〜7,500MMKまで下落する局面も見られました。当局は違法両替の摘発を強化しています。
また、輸出代金の強制両替比率は2024年8月以降、65%から50%、35%、25%へと段階的に緩和されています。
実務上は、見積書や契約書に基準レートを明記し、決済レートの乖離上限や再交渉条項を盛り込むことが重要です。さらに、外貨資金の回収・送金許可・AD銀行経由などの資金繰り対策をセットで検討する必要があります。
外国直接投資(FDI)
ミャンマーでは、外資撤退と限定的な新規流入が併存しています。大型案件では、TotalEnergies(2022年)およびChevron(2024年)がヤダナガス田などから撤退し、その持分はPTTEPとMOGEへ再配分されました。
2024/25年度のFDI承認額は約6.9億USDで、製造業や電力分野に集中しています。ただし、承認がそのまま実行を意味するわけではなく、政情不安や送金規制、電力不足といった三重のリスクが存在します。そのため、契約には条件成就条項などを設けた「条件先行型」の取り決めが安全です。
電力事情
ミャンマーの発電構成は、ガス火力が約48〜51%、水力発電が約38〜44%を占めており、年によって多少の変動があります。停電や計画的な送電停止が依然として多いため、これを前提とした事業運用が必要です。
実務的には、小規模な自家発電設備や太陽光発電+蓄電システムを導入し、電力の冗長化を図ることが推奨されます。また、水力発電の変動による影響を緩和するため、重要工程は昼間に集中させる運用も有効です。
通信
通信分野では、事業者の撤退と規制強化が進んでいます。TelenorおよびOoredooは2022年に事業を売却し、edotcoも2024〜2025年にかけて撤退を予定しています。
インターネットの自由度はFreedom House 2024で最下位水準とされ、VPNの規制や遮断、新たなサイバー法による監視強化が続いています。
そのため、実務面では複数の通信回線(MNO・衛星・固定)を併用し、業務データは暗号化・ログ最小化を徹底することが必須です。
最低賃金・コスト
最低賃金は1日4,800MMK(8時間)で、2018年の設定から据え置かれています。近年は手当の追加により実質的な引き上げが進み、2023年10月に+1,000MMK、2024年8月にさらに+1,000MMK、2025年10月にもう+1,000MMKが段階的に導入される予定です。結果として、合計7,800MMK/日が目安となります。
実務上は「基本給4,800+手当」の区分を明記し、為替や物価の変動を踏まえた年次改定条項を契約書に盛り込むのが望ましいです。
人口
2024年の簡易国勢調査によると、ミャンマーの人口は約5,130万人となっており、2014年の5,150万人から微減しました。治安上の理由で一部地域は推計による補完が行われています。
物流・国境事情
ミャンマーはアジアハイウェイに面し地理的優位性を持つ一方で、越境リスクが増しています。2025年2月には、タイ政府がミャンマー国境側の一部地域に対して電力・通信・燃料の供給を遮断し、その影響で国境貿易の一時停止やリードタイムの延長が発生しました。
実務的には、海上輸送・第三国経由・内陸代替ルートなどを併走的に設計し、在庫の安全日数を拡大しておくことが重要です。
③に続きます。
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