2025年版:ミャンマー経済・投資環境①

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「2025年版:ミャンマー経済・投資環境①」についてお伝えします。

 

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目次

【2025年版:ミャンマー経済・投資環境①】

 

要約

  • 2011年の民政化→投資ラッシュの流れは、2021年のクーデターで反転。欧米制裁が強化・延長中。(consilium.europa.eu)
  • 成長率は鈍化〜マイナス。世界銀行は2025/26年度▲2.5%を見込む(3月の大地震の打撃が直撃)。(Reuters)
  • 電力不足が企業活動の最大ボトルネック。2025年4月調査で企業の約3/4が停電を経験。(World Bank)
  • 輸出は天然ガスがなお柱。主要相手はタイ・中国。衣類や農産物も続く。(ttd.wto.org)
  • 投資制度は2016年ミャンマー投資法(MIL)に再編。50年+10年×2の長期賃借、SEZは50+25年。(bclplaw.com)

マクロの温度感:成長・物価・為替

2024/25年度のミャンマー経済はマイナス成長が見込まれており、2025/26年度には成長率がさらに悪化し、▲2.5%にまで落ち込むとの予測が出ています。主な要因は、2025年3月に発生したマグニチュード7.7の地震、洪水や紛争による供給網の寸断、そして内需の弱さです(Reuters)。
物価については高止まりが続いており、世界銀行は2025/26年度におけるインフレ率を約31%と見込んでいます。一方で、並行市場では2024年10月以降、通貨チャットの動きが相対的に安定しているとの分析もあります。


制裁の現状:欧州は延長、米国はMOGEを標的

欧州連合(EU)は対ミャンマー制裁を2026年4月30日まで延長し、対象は106名の個人と22の団体に及んでいます(consilium.europa.eu)。
また、アメリカ合衆国は国営石油ガス公社(MOGE)に対して、金融サービスの提供を禁止する制裁を実施しました(2023年12月15日以降)。この措置により、ガス収入への圧力が引き続き強まっています。


電力と事業環境:停電が“最大の固定費”

 世界銀行が2025年4月に公表した企業モニタリングによると、約75%の企業が停電に直面しており、停電が原因で発生する損失は月間売上高の平均16%に達すると推計されています。背景には、発電用燃料の不足、老朽化した水力発電設備、送電網の障害、そして保守投資の停滞が挙げられます(World Bank)。
 一方で、電化アクセス率自体は改善傾向にあり、2023年時点で76.8%に達しました。しかし、供給の信頼性はむしろ低下しており、都市部と農村部の格差が依然として大きい状況です。


貿易の現状:ガス・衣類・農産が三本柱

 2023年のミャンマーの輸出総額は147.5億米ドルに達し、主要輸出品は天然ガス(23.3%、約34.4億米ドル)、衣類、豆類、米などです。輸出先としては、タイ(24.3%)、中国(23.2%)、EU(18.8%)、日本(8.1%)が上位を占めています(ttd.wto.org)。
 天然ガス輸出の内訳を見ると、HSコード271121(気体の天然ガス)で2023年に約34.4億米ドルを記録し、仕向け先はタイが約20.4億米ドル、中国が約14.6億米ドルとなっています。なお、中国向けの中緬パイプラインは2013年に稼働を開始しました。


対日貿易の位置づけ

 日本はミャンマーにとって主要な貿易相手国の一つであり、輸出シェアは8.1%を占めています。ミャンマーから日本への主な輸出品は衣類・農水産物・鉱物資源であり、日本からミャンマーへの輸入品は機械、鉄鋼、化学品が中心です。この構図は近年も大きく変わっていませんが、取引総量では依然としてタイおよび中国向けが上回っています。


投資制度とFDIフロー

 2016年に施行されたミャンマー投資法(MIL)により、投資制度が再編されました。ミャンマー投資委員会(MIC)のLand Rights Authorizationに基づき、「50年+10年×2」までの長期賃借が可能となっています。また、ティラワ経済特区(SEZ)などでは「50年+25年」で最大75年の賃借も認められています(bclplaw.com)。
 ただし、実際の外国直接投資(FDI)フローはクーデター以降大幅に減少しており、現在はシンガポール、中国、タイの存在感が相対的に大きい状況です。公式統計はDICAが公表しています。


リスクと見通し:復旧・外貨・電力が鍵

 今後の課題としては、地震被害からの復旧、外貨および貿易規制の緩和、そして電力供給の安定化が挙げられます。現時点の政策および治安環境を踏まえると、急速な回復は期待しにくく、今後も“底這い状態でボラティリティ(変動性)が高い”展開が続くとみられます(World Bank)。


②に続きます。

 

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