2025年版:ミャンマー会社設立・進出形態③

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「2025年版:ミャンマー会社設立・進出形態③」についてお伝えします。

 

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目次

【2025年版:ミャンマー会社設立・進出形態③】

 

① 制度の主要アップデート

 ミャンマーでは、会社設立および運営に関する制度が大幅に電子化・近代化されました。主な変更点は以下のとおりです。

 まず、会社登記はオンラインシステム「MyCO」への一本化が行われ、旧CROや紙ベースの「営業認証」はすべて廃止されました。現在では、DICAのポータルサイト「MyCO」上で登記手続きが完結します。

 また、従来の支店や駐在員事務所に相当する形態は、「Overseas Corporation(海外法人)」として登録することが標準的な運用となっています。申請はForm A-8を用い、手数料はミャンマーチャット(Kyat)建てで納付します。

 旧来の「Permit to Trade(営業許可)」制度も廃止され、登記と業種別の許認可が明確に分離されました。会社の目的条項に対する包括的な事前審査は原則不要となりましたが、特定の業種については引き続き所管官庁の許認可取得が必要です。

 最低資本金については、「製造業15万USD」「サービス業5万USD」という一律基準が撤廃され、現行制度では明確な根拠がなくなっています。ただし、業種や投資形態によっては個別制度により投資要件が課される場合があります。

 さらに、2018年以降は外資による卸売・小売業への参入が解禁され、外資100%の出資も認められるようになりました(特定の小規模小売業を除く)。もっとも、外資100%の場合は初期投資額の下限が設定されており、卸売業は500万USD以上、小売業は300万USD以上とされています。合弁(JV)形態ではこの閾値が低く設定されています。最新の通知やSOPで条件を確認することが重要です。

 また、貿易関連手続きも電子化が進み、TradeNet 2.0によりEIR(Exporter/Importer Registration)登録後、品目ごとにライセンスをオンライン申請できるようになりました。必要書類や運用は、商業省の告示により随時更新されています。

 外貨規制に関しても、ミャンマー中央銀行(CBM)の通知によって強制両替比率、送金手続き、期限などが頻繁に改定されています。資本払込、輸入決済、配当送金はADライセンス銀行を通じて行い、常に最新のCBM通達に厳密に従う必要があります。

 さらに、ヤンゴン市域では建築許可や建物完了証明(BCC:Building Completion Certificate)を「YBPS」システムでオンライン申請する方式に移行しており、建築・工場関連の行政手続きも電子化が進んでいます。


② 旧制度からの見直しポイント

 旧制度から現行制度に移行する際に特に注意すべき点は以下のとおりです。

 まず、申請書類は公証や領事認証を前提とした紙提出から、MyCOによる電子提出が基本となりました。親会社の登記事項証明書、定款、役員の身分証明書などを適切に準備し、必要に応じて英訳・翻訳を添付します。

 営業認証(Permit to Trade)は不要となり、業種別の許認可を個別に確認することが求められます。たとえば、卸売・小売、製造、金融などの事業では、それぞれ商業省や関連省庁の認可が必要です。

 資本払込や銀行取引に関しては、各種手数料がKyat建てで発生します。送金や払込はAD銀行経由で行い、中央銀行の通達(強制両替・送金許可など)に適合させる必要があります。

 卸売・小売業では、商業省(MoC)の告示第25/2018号などに基づき、初期投資額の要件や登録、定期報告の義務を履行することが求められます。

 輸出入業では、EIR登録後にTradeNet 2.0を用いて品目別にライセンスを電子申請します。禁止・制限品目はNewsletter等で頻繁に改定されるため、最新情報を確認する必要があります。

 会社印については、法令上は任意とされていますが、銀行口座開設や税務手続きなどで押印を求められる場合があります。

 建築関連の手続きについては、自治体ごとにオンライン制度(例:YBPS)を利用し、建築許可からBCC取得までを行う必要があります。


③リスクと留意事項

 ミャンマーでは通達や告示の改定が非常に頻繁に行われるため、特に禁止・制限品目、ライセンス運用、外貨規制に関する最新のNewsletterやSOPを申請直前に必ず確認する必要があります。

 また、外貨や送金の実務面では、強制両替比率や為替レートの運用により、調達通貨や決済タイミング、原価構造に影響が生じることがあります。そのため、資金繰り計画は常にCBM通達の改定を前提として、余裕を持った設計を行うことが重要です。

 さらに、卸売・小売の投資額要件、輸出入品目の規制、年次報告義務などは、監査や更新時の重点確認対象となります。内部統制体制の整備と記録管理を強化することが求められます。

 最後に、各種手続きはオンライン化により標準化が進んでいるものの、審査や照会の内容によっては所要期間が変動する場合があります。そのため、MyCO承認、銀行口座開設、許認可取得、事業稼働といったクリティカルパスを明確にし、前倒しで準備を進めることが望ましいです。

 

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株式会社東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点
近藤 貴政


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