前回、メキシコにおけるサイナーとして権限の引継ぎ(変更)についてお話ししましたが、今回は実際にどのような手順を経てサイナーの変更を行うのかを記載したいと思います。
メキシコ現地法人の代表として各種書類にサインを実施するためには、会社の権限者となる必要があり、一般的にここでいう権限者とは、取締役や法定代理人(Representante Legal)のことを指します。
メキシコではこの場合の取締役のことを“Administrador”と呼び、取締役が一名の場合は唯一代表取締役(Administrador Único)、2名以上の取締役から成る場合は取締役会(Consejo de Administración)として機関設計されることになります。
さて、この取締役ですが、就任における条件にメキシコ現地の居住性の証明等は必要ではないため、“(メキシコには居ない)本社の社長がそのままメキシコの取締役になっている”といったケースもありえます。
本来、取締役に就任している者は会社運営における責任を有しているはずですので、このようにメキシコ非居住者が“責任者”であっては、不測の事態に直ぐに対応することが来ません。
そのため、メキシコでは、取締役として会社定款に名前が載っていたとしても、メキシコの居住性を証明できる公的な書類を提出できなければ、メキシコ現地においてはサイナーとして効力が有効になりません(非居住者の取締役でも署名を有効にする方法はある)。
前回、公的な意味で、メキシコ現地法人の代表としてサイナー(署名権限を持つ者)の2つの条件(定款への記載し、かつ居住者であること)を満たしている必要があると記載しましたが、これは取締役就任の条件に居住性が含まれていないためです。
サイナーとしての変更(除名・追加)は株主総会の決議事項であるため、形式的ではありますが、必ず株主総会を開催して議事録を残し、その議事録を公証、そして商業登記まで行わなければなりません。
そして、商業登記が完了して初めて、サイナーとしての変更が完了したということになり、効力が発生することになるのです。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一
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