メキシコの従業員が一般的に納めるべき税金、及び社会保険には以下のものが御座います。
・給与税(ISN: Impuesto Sobre de Nomina)
・社会保険料(IMSS: Instituto Mexicano del Seguro Social)
・退職年金基金(SAR: Sistema de Ahorro para el Retiro)
・労働者住宅供給基金(INFONAVIT: Instituto del Fondo Nacional de la Vivienda para los Trabajadores)
上記のうち、給与税は単純にグロス給与の2%(州によって異なる)で計算されますが、そのほかの社会保険料、退職年金基金、労働者住宅供給基金等は、直接グロスに対して計算するわけではありません。
その際に使われるのがSBC(Salario Base de Cotización)です。
会計ソフト等から出力された一般的な給与明細には、SBCが記載されており、直訳すると基本給与の拠出になります。
例えば、退職年金基金は2%が雇用主負担となりますが、その計算は
SBC × その月の日数 × 2%
となります。
このSBCについては、社会保険法(LEY DEL SEGURO SOCIAL)で「社会保険計算のベースには、同法第27条で規定された項目を除く、給与、手当、報酬(Aguinardo等)、食費、住宅費、賞与、手数料、現物給付など実際に行われた支払いが含まれる」と定められております。
つまり、これは年間ベースで見た日給を表しております。
従って
年間での上記の給与 ÷ 365
の計算でSBCを算出致します。
また上記に第27条で規定された項目を除くとありますが、その項目が以下の通りです。
- 工具、衣服、その他同様の労働用備品。
- 週毎、半月毎、もしくは月毎の労働者と企業から同等な金額で貯蓄される基金。異なる形式、もしく は労働者が年 2 回以上引き出せる場合には給与としてみなされ、雇用主が供与する医療保険は考慮されない。
- 退職、高齢および老齢保険負担金として労働者のために雇用主が供与する追加負担金。
- 公団住宅供給基金、労働者利益分配金への引当金。
- 労働者に一部有償で与える食事、住居は一部有償で労働者各自が支払う場合には、一般最低賃 金の少なくとも 25%迄。
- 物品、または現金の商品券は、その額が一般最低日給賃金の 40%を超えないこと。
- 皆勤手当、時間厳守手当は、各々の金額が計算基準給与の 10%を超えないこと。
- 会社目的のために持ち込まれる金額、雇用主、もしくは集団契約で定められた何らかの年金基金プ ランなど。年金プランは国家退職貯蓄審議会が定める必要条件を備えること。
- 連邦労働法に示された範囲内の超過時間。
但し、SBCの金額には上限があり、※UMAの25倍までとされています。
※UMA とは、Unidad de Media y Actualizacion の略で直訳すると測定データと更新です。
毎年 2 月 1 日にメキシコ国家統計地理情報局(INEGI:Instituto Nacional de Estadistica
y Geografia )が公表をしており、インフレ率なども考慮された給与計算上の基準指標です。近年上昇している傾向にあり 2019 年 2 月 1 日データでは、日割にして 84.49 となっています。そのため2,112.25MXNが現在のSBCの上限額となります。
このSBCは2ヶ月ごとに見直す必要があり、この計算を間違えると社会保険料等、様々な計算のミスにつながるため注意が必要となります。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
渡辺寛
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