こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの吉田 幸弥です。
前回は「変動費(Costos Variable)と固定費(Costos Fijos)」について、解説してきました。
まだ、見てない方はリンクを貼り付けておきますので、ぜひ以下のリンクからご確認ください。
「コストダウンは「Costos Variable」と「Costos Fijos」の理解から始めよ」
そして、今回のテーマは「限界利益(Margen de contribucion)と限界利益率(Porcentaje de margen de contribucion)」」についてです!
【はじめに】
前回までは、変動費と固定費について解説してきました。
管理会計上、費用を変動費と固定費にわける理由についてもある程度わかったかと思います。
今回は売上が変動すると、変動する利益 “限界利益” について、解説していきます。
“粗利益”と呼ばれるものは聞いたことはあるかもしれませんが、“限界利益”はあんまり聞いたこと無いのではないでしょうか。
実は、この“限界利益”というものを把握することにより、会社としてどれくらい売上を上げなければいけないのかが決まってきます。
そもそも、売上を上げるのはいいですが、いくら売上を上げたとしても、会社としては利益が出てなければ意味がありません。利益が会社を存続していくために重要になってくるからです。
では、どれくらいの売上を上げたら、みなさんの会社は、利益が出るか把握していますか。
今回の記事を最後まで見ていただければ、どれくらい売上を上げたら、利益が出るのかがわかるようになります。
【限界利益・限界利益率】
・限界利益(Margen de contribucion)
前回解説してきましたが、変動費とは売上の増減に応じて、増減する費用であり、この変動費を売上から差し引いて求められる利益を“限界利益”と言います。
つまり、限界利益とは、売上の増減に応じて、増減する利益のことです。
限界利益=売上-変動費
固定費は売上の増減に関わらず、発生するため、限界利益と固定費のバランスで利益が出るかどうかが決まってくるのです。
例えば、限界利益より固定費が大きい場合、赤字になり、固定費よい限界利益が大きい場合は黒字になります。
ここまでは、なんとなく、知っている人が多いのではないでしょうか。
では、ここからどれくらい売上を上げれば、利益が出るのかという点について解説をしていきます。
いきなりですが、問題です。
<問題>
A社が利益 5,000を出すにはどれくらいの売上を上げればよいでしょうか。
A社の現状:売上 50,000、変動費 35,000、固定費 40,000
※売上に対する変動費の割合および固定費は変わらないとします
簡単に答えをだせますでしょうか。答えは、100,000です。
では、どのように計算をしていったか解説していきます。
・限界利益率(Porcentaje de margen de contribucion)
まずは、限界利益率を理解する必要があります。
限界利益率とは売上に対する限界利益の割合のことです。
限界利益率=限界利益÷売上
限界利益率を理解することにより、利益を出すためにはいくら売上をあげなければいけないかを簡単に計算することができます。
<例>
例えば、限界利益率が30%、固定費0で300の利益を出したいと考えているとします。そのためにはいくら売上が必要でしょうか。
この場合、上記の計算式に一度当てはめてみます。
限界利益率(30%)=限界利益(300)÷売上(?)
そして、この式は以下のように展開できます。
売上=限界利益(300)÷限界利益率(30%)
売上=1,000
つまり、売上に対する限界利益が30%なので、出したい利益300を限界利益率30%で割り戻せば、必要な売上1,000が出てきます。
ここまで理解していただけたら、先程の問題も簡単です。
<解説>
A社が利益 5,000を出すにはどれくらいの売上を上げればよいでしょうか。
A社の現状:売上 50,000、変動費 35,000、固定費 40,000
※売上に対する変動費の割合および固定費は変わらないとします
①現状の利益と限界利益率はいくらか
まずは、現状の利益や利益率を算出していきます。
売上50,000-変動費35,000=限界利益15,000
限界利益15,000÷売上50,000=限界利益率30%
限界利益15,000-固定費40,000=利益△25,000
つまり、現状は限界利益15,000であり、限界利益率30%、利益△25,000となっています。
②利益5,000を出すためには、いくらの限界利益が必要か
次に、利益5,000を出すためには、どれくらいの限界利益率が必要なのかを固定費を考慮して、算出していきます。
利益5,000+固定費40,000=限界利益45,000
つまり、利益5,000を出すためには、限界利益45,000必要になります。
③利益を5,000出すために必要な売上はいくらか
②により、利益5,000を出すために必要な限界利益は45,000とわかったので、この限界利益を限界利益率で割り戻して、必要な売上を算出していきます。
必要な限界利益45,000÷現状の限界利益率30%=売上150,000とわかります。
つまり、利益を5,000出すために、必要な売上は150,000となります。
④いくら売上をあげなければいけないのか
③により必要な売上が150,000とわかったので、必要な売上から現状の売上50,000を差し引いて、いくら売上をあげなければいけないかを算出していきます。
必要な売上150,000-現状の売上50,000=100,000
つまり、売上を100,000あげなければいけないことがわかります。単純に考えると現状の3倍の売上を達成しないと利益目標が達成出来ません。
これが現実的なのかは会社の状況によりますが、このように費用を変動費と固定費に分けて考え、限界利益や限界利益率を用いて、将来に向けてどれくらいなにをしなければいけないかがわかるのです。
【おわりに】
今回は売上をどうしていくかを例にして、問題を出しましたが、変動費や固定費を下げることによっても利益を上げることは出来ます。
なにから手を付けていけばいいかなどを考慮して、会社の戦略を立てていく必要があります。
「とにかく売上をとにかく上げろ」と言われて、売上ばかりにフォーカスをしてしまい、利益がなかなか上がらないこということが多くの会社で起きています。
売上を上げれば利益も上がるだろうという考えだと思うのですが、一概にそうとは言えません。
例えば、営業の方が売上を上げるために、値引きをして受注件数を上げるとします。
その場合、売上は上がるかもしれませんが、変動費や人件費は変わりません。
むしろ、人件費は受注の案件が増えれば、増えるほど人を雇わないといけなくなるかもしれません。
そうすると利益を上げるのは、難しくなるのです。会社として一番重要なのは利益です。
利益がなければ、会社は存続してくことが出来なくなってしまいます。
このような考え方は当たり前だと思うかもしれませんが、意外と理解していない場合が多いのです。
特に、海外に駐在している方は営業の方もしくは製造部門の方が多いですが、拠点を1つ任されている限り、「売上でなく利益をどのように上げていくか」という考え方が大事になってきます。
私たちでは、会計の記帳や税務申告だけでなく、以下のような図を使って、会社の利益をどのように上げていくかといったようなところまでサポートさせていただいております。
また、日本語だけでなく、英語版やスペイン語版も用意しており、英語やスペイン語での講座も行なっております。
もし、ご興味がありましたら、いつでもご連絡いただければと思います。
今回は以上となります。
また、次回もよろしくお願いします!
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<参考文献>
- https://note.com/ttmhrmt/n/n1d848111b5b7
- https://freeway-keiri.com/blog/view/255#:~:text=%E6%90%8D%E7%9B%8A%E5%88%86%E5%B2%90%E7%82%B9%E6%AF%94%E7%8E%87%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E5%AE%9F%E9%9A%9B%E3%81%AE%E5%A3%B2%E4%B8%8A%E9%AB%98,%E3%82%92%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%81%97%E3%81%9F%E6%8C%87%E6%A8%99%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E6%90%8D%E7%9B%8A%E5%88%86%E5%B2%90%E7%82%B9%E6%AF%94%E7%8E%87%E3%81%AF%E4%BD%8E%E3%81%84%E3%81%BB%E3%81%A9%E8%89%AF%E3%81%8F%E3%80%81%E5%A3%B2%E4%B8%8A%E4%BD%8E%E4%B8%8B,%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
- https://keiriplus.jp/tips/sonekibunkiten_meyasukeisan/
- https://advisors-freee.jp/article/category/cat-big-01/cat-small-02/7531/
- https://keiriplus.jp/tips/sonekibunkiten_keisan/
- https://www.ktax-agent.jp/business-administration/breakthrough-ratio/
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