メキシコのM&A に関する税務について

経営

 

今回はメキシコのM&Aに関する税務についてお話します。

 

■株式譲渡

[株式譲渡時の税務]

<キャピタル・ゲイン>
株式売却から生じるキャピタル・ゲインについては、普通所得とみなされ、通常の法人税率が課されます。メキシコ非上場企業の株式を売却する非居住者は収益額の25%、非居住者がメキシコに代理人を置いている場合(当該非居住者がタックス・ヘイブンに立地していないことまたは優遇税制の恩恵を受けていないことを条件とする)は利益額の35%がそれぞれ課税されます。
上場企業の株式売買から生じるキャピタル・ゲインに対しては、2014年新税制において10%の所得税が課されることとなりました。メキシコ居住者および外国居住者ともに適用があり、株式市場を通じて株式取引を行う仲介業者により源泉徴収されます。

<付加価値税(IVA)>
株式譲渡には、付加価値税(IVA)は課されません。

 

[株式譲渡後の税務]

<欠損金>
支配権の移転後、買収先企業の欠損を繰入れることができます。ただし、欠損を生じたビジネスと同種のビジネスからの収入に対してのみ用いることが認められます。欠損金の繰越期間は10年間です。

<補償および保証>
株式譲渡においては、買い手は買収先企業の偶発債務や税滞納を含む全責任を引継ぐことになります。
税務当局は、納税期限または申告書提出の翌日から5年間は、いかなる時点であれ追加課税のための調査・評価を行う権限を有しています。また、税務当局は買い手に対し、対象企業の過去5年間の未払税に対する連帯責任を追及することが可能です。
株式譲渡の場合、買い手は通常、資産譲渡のみの場合よりも広範な補償および保証や寄託金を売り手側に要求します。

 

■資産譲渡

[資産譲渡時の税務]
資産の売却価額に対して16%のIVAが課されます。

<不動産取得税>
不動産の譲渡により、買主に地方税が課されます。税率や課税標準は州により若干の違いがありますが、取引価額、地籍上価額、査定市場価格等のうち、最も高いものの2%前後が目安となります。州によっては投資インセンティブとして免除されます。

 

[資産譲渡後の税務]

<のれん>
第三者から取得したのれんは、メキシコの税務上損金算入できません。

<固定資産税>
2カ月ごとに固定資産税を支払う義務があります。税額は当該不動産の価値や、所在する地域により異なります(地方税)。

<減価償却>
取得した有形・無形資産は、所得税法(Ley Federaldevl Impuestov Sobrelav Renta)に定められた償却率に従い、定額法34条により損金算入する必要があります。

 

■合併

メキシコの税制度においては、以下の要件に合致していれば、国内での合併は非課税で行うことが可能です。

・合併が株主に承認された日から1カ月以内に、存続会社が税務当局に合併の通知を提出する
・存続会社は、合併前の自社および消滅会社の事業を、合併完了から最低1年間実行する
・存続会社は、消滅会社に代わって、合併時点で納税義務があるものを含め、合併完了した年度のすべての税および情報の申告を行う

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年10月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

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