こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの清水皐でございます。
今週は、懲戒手続及び懲戒解雇における留意点について記載致します。
質問)
先月末に従業員より、上司からのセクハラを理由に契約解除を申し出られました。
弊社としては当従業員には勤続してもらいたく、セクハラをしたという上司の者を懲戒解雇として処分したいと考えております。
実際セクハラをしたという理由で懲戒解雇処分は可能なのでしょうか。
回答)
はじめに、以下に記載する内容はあくまで弊社弁護士の見解となり、
個々の事例や弁護士により、見解が異なる場合がございますので、
ご参考というかたちでご理解頂けますと幸いです。
なお、個別のご相談やサポートも受けておりますので、
問い合わせフォームよりご連絡頂ければと存じます。
Ley Federal del Trabajo(連邦労働法)第47条にて、セクハラ行為は、雇用主に責任なく、労働関係を解除できる事由として認められております。
ここでいう責任とは、解雇補償金を支払う責任を指しており、所謂、会社都合で解雇をする不当解雇(Despido Injustificado)において支払わなければならない解雇補償金を、この事由においては払わなくてよい、ということとなります。この場合の解雇は、不当解雇ではなく懲戒解雇(Despido Disciplinario)と呼ばれます。
Artículo 47. Son causas de rescisión de la relación de trabajo, sin responsabilidad para el patrón:
VIII. Cometer el trabajador actos inmorales o de hostigamiento y/o acoso sexual contra cualquier persona en el establecimiento o lugar de trabajo;
また、職場にて、セクハラを始めとした差別行為や性的嫌がらせをする、あるいは黙認・容認する者に対しては、一般最低賃金の250~5,000倍の罰金が課されます。(同法994条)
Artículo 994. Se impondrá multa, por el equivalente a:
VI. De 250 a 5000 veces el salario mínimo general, al patrón que cometa cualquier acto o conducta discriminatoria en el centro de trabajo; al que realice actos de hostigamiento sexual o que tolere o permita actos de acoso u hostigamiento sexual en contra de sus trabajadores; y
ただし、懲戒解雇として対応する為には、当該従業員がその行為を行ったという確固たる証拠及び証人が必要となります。
証拠が不十分なまま懲戒解雇処分をしてしまうと、後々解雇した従業員からの訴えで不当解雇と見なされてしまう可能性もございます。
比較的リスクの少ない対応方法としましては、下記の例が挙げられます。
① 被害者である従業員が、被害を受けてから可能な限り迅速に直属の上司へ報告をする
② 報告を受けた上司が、事実を明確にした報告書を作成し、人事部並びに法務部へ提出をする
③ 提出後、報告を受けた上司もしくは法定代理人の立ち合いの元、加害者との話し合いを設け、懲戒処分に同意をしてもらう
その際、署名する同意書は企業用、従業員用、そして調停仲裁委員会への提出用として計3部用意する
また、懲戒手続として、就労停止を命じることも可能でございます。期間中は無給ですが、8日間を超えて停止させることはできません。就労停止を命じられた従業員は、自らの懲戒事由に関し釈明する余地が与えられます。(同法423条)
Artículo 423. El reglamento contendrá:
X. Disposiciones disciplinarias y procedimientos para su aplicación. La suspensión en el trabajo, como medida disciplinaria, no podrá exceder de ocho días. El trabajador tendrá derecho a ser oído antes de que se aplique la sanción; y
このようなトラブルが起きた場合に備え、予めどのような対応をすべきなのかを表した手順書等を用意することも必要ではございますが、なるべくであればトラブルそのものを回避するために、日頃から従業員間のコミュニケーションを密にとる、匿名性で告発ができるような制度を作る等、事前の対策をとっておくことが大切となります。
*引用元「Ley Federal del Trabajo(メキシコ連邦労働法)」
https://www.juridicas.unam.mx/legislacion/ordenamiento/ley-federal-del-trabajo#31734
株式会社東京コンサルティングファーム
メキシコ拠点
清水皐
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