シェルターサービスについて

皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週はメキシコのシェルターサービスについて記載します。

質問)
メキシコ現地での事業展開を考えておりますが、シェルターサービスという制度があり、これを使うと投資コストが抑えられると聞きました。メキシコでのビジネスは力を入れていこうとは考えていますが、最初から大型の投資はリスクが高いため、投資コストを抑えられるのであればこの様な制度を使っていきたいと考えています。シェルターサービスとはどの様なものなのでしょうか。

回答)
シェルターサービスとは、一言で言ってしまえば、自社で現地法人を設立するのではなく現地企業へ生産委託を実施するという方法です。
この際、現地の受託企業(シェルターカンパニー)は生産に必要な工場棟や労働力を提供するだけでなく、人材の雇用から給与の支払い、許認可取得から税金の支払いまで、総務・経理・人事業務の全てを行ってくれます。
通常、シェルターカンパニーへの生産設備や原材料は委託企業が提供しますが、働いている労働者(本国から派遣される人間は除く)はシェルターカンパニーの労働者となります。
委託企業は、労務や税務といった作業を全てシェルターカンパニーに任せ、製造に特化することができるため、短期間で生産事業を立ち上げることが可能になります。しかし、委託生産コストが高いため、自ら投資をして生産を行うよりコストは少し割高に可能性もあります。

【メリット】
初期投資コストの削減
既に現地にある企業の資産を使えるため、土地購入や工場建設といった大型の投資が不要となる。
メキシコでの法的責任を持たない
自社で直接投資を行って現地法人を有しているわけではないので、現地での法的な責任(税金、社会保険等)が無い。
労働力の柔軟な対応
労働者はシェルターカンパニーの社員であるため、自社の業績や季節変動などによる労働力の柔軟性に対応できる。
現地ビジネスの迅速な立上げ
土地の購入、工場の建設、労働力の確保という多くの時間を必要とする段階を必要としない。
現地の複雑な手続の回避
メキシコ特有の頻繁に変わる法律、複雑な手続を自社で対応する必要がない。
離職率・欠勤率の低減
一般的にシェルターカンパニーは現地文化や現地人の特性を把握しているため、現地事情の分からない外国企業よりも現地スタッフを管理できる。

【デメリット】
トータルコストが高くなる可能性がある
初期投資は抑えることができるが、長期にわたっては直接投資を行うよりもトータルでのコストが高くなる可能性がある。
自社の理念共有・文化形成を行い難い
現地のスタッフはあくまでもシェルターカンパニーの社員であり、自社の社員では無い。そのため、日本の親会社のやり方や考え方を浸透させることが難しい。
自社にメキシコビジネスのノウハウが蓄積され難い
メキシコ現地の業務を行うのは、管理部門業務も含めシェルターカンパニーの社員であるため、メキシコビジネスのノウハウ(知識や習慣)が自社に蓄積され難い。

 

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