メキシコにおける固定資本と可変資本について

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコの可変資本会社における固定資本と可変資本について記載します。

 

 

質問)

弊社はメキシコで可変資本株式会社(S.A. de C.V.)として活動を行っています。可変資本株式会社の場合、資本金を“固定資本”と“可変資本”に分けて会社を設立すると思うのですが、そもそもこの“固定資本”と“可変資本”とはどのようなものなのでしょうか。

先日、増資を行った際には、弁護士より「可変資本として増資の手続を行う」と言われましたが、なぜ、固定資本として増資を行わなかったのかが分かりません。

そのあたりもご教示頂ければと思います。

 

 

回答)

メキシコでは、1884年より、メキシコ商事会社一般法6条において可変資本会社として法人を設立する制度が設けられました。これにより、企業は定款を変更することなく資本金の増減が可能となりました。

同制度が成立されるまでの企業形態はとしては、株式会社(S.A. : SociedadAnónima)が一般的でしたが、可変資本会社の制度ができたことにより、可変資本株式会社(S.A. de C.V. : Sociedad Anónima de Capital Variable)として会社を設立することが、主流となりました。

 

可変資本会社における「固定資本」と「可変資本」の違いとは、会社定款を書き換えることなく、資本金を増減させられるか否かということとなります。

 

【ポイント】

●固定資本部分における資本金の増減:定款の変更が必要

●可変資本部分における資本金の増減:定款の変更が不要

 

さて、定款内容の変更を行った場合、公証手続の一つである商業登記が必要となります。商業登記の完了には2~3ヵ月の時間を要し、かつ、商業登記手数料が必要となるため、固定資本か変動資本のどちらを増減させるかによって、時間と金額(手数料)に違いが生じてまいります。つまり、増減資を固定資本部分ではなく、可変資本部分で行えば、商業登記が不要であるため、増減資手続の完了に時間とお金を短縮できるということです。

そのため、今回弁護士の方が説明したように、可変資本会社として登録している企業の多くは、増資を行う際に固定資本ではなく、可変資本で対応しているのです。

 

一方、会計上は、固定資本と可変資本に分けて記帳を行いますが、資本金が固定と変動で分かれていることによって税金の計算等が変わることはなく、あくまでも固定と変動の総額を資本金として認識し、処理などは行われます。

 

黒岩洋一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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