日本も様々な分野において電子化が推し進められていますが、メキシコで仕事をしていると、日本よりも制度面の電子化は進んでいるのではないかと感じることが多いです。
例えば、電子会計制度をはじめとする会計全般、法人・個人の税務申告、社会保険関係の登録や申告等、運用がうまくいっているかどうかは別ですが、“とりあえず構築する”という前向きな姿勢は、日本も見習うところがあるのではないかと思ってしまいます。
一方で、各分野での電子化が進んでいるということは、それを利用する個人(法人)においても、個々を識別するために情報が電子化さている必要があります。今回紹介するFiel(フィエル)とは、そのための電子情報です。
Fielとは”Firma Electrónica Avanzada”の略称であり、最近ではe-firmaと名称が変わっています(なぜかメキシコでは名称が変わっても、FM3(本来は名称が変わり、TRT)のように旧称で呼ぶことが多いです)。“Firma Electrónica Avanzada”を直訳すれば「高度な電子署名」となりますし、e-firmaも“Electrónica Firma”を略したものですので、Fiel(e-firma)は、「個を特定するための電子化された署名」ということになります。
このように考えると、メキシコでは居住する全ての個人や法人で保有が義務付けられているように思われますが、個人においては全ての者が取得しなければならないものではありません。
冒頭で各種の登録や申告に必要だということを述べました。逆を行ってしまえば、それらの登録や申告を行う必要のない人は取得する必要がないということでもあります。
例えば、個人としてのFiel取得が必要になってくるケースの一つは、毎年4月30日が申告期限である個人確定申告です。申告は全てSAT(メキシコ国税庁)のWeb上で実施するのですが、この際にFielとそのパスワードが必要になります。Fielが無いと申告手続ができませんので事前に準備しておくようにしましょう。Fiel取得はSATへその本人が出向いて、書類の提出や指紋登録が必要になります。
また、Fielに関する注意点ですが、Fielは個人であっても法人であっても有効期限があります。その期限を過ぎてしまうと使用できなくなってしまいますので、期限が切れる前に更新(再取得)を実施することが必要です。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一
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