”事業承継”というと、・人、モノ、カネの承継を
行う形になりますが、その中でも”人”の部分が
一番難しい、という方も多いのではないでしょうか。
と言うのも、昔から、財を遺すは下、事業を遺すは中、
人を遺すは上、と言われ、最近では“モノ”や“金”により
“人”の問題を解決(M&A)が増えてはいますが、中小企業に
とってはまだまだ“人”のウエイトは大きいかと思います。
なぜ“人”が難しいかと言えば・・・
理由として多いのが、“対象者がいない”という点と
“辞めてしまう”という二つが大きいかと思います。
では、これを解消するためにはどうすればよいか？
一番有効なのは、”人”ではなく“仕組み”に承継、
という事です。
人の場合、苦しくなると文句を言いだし、退職して
しまいますが・・・仕組みは文句も言わず、辞めることも
ないので、ずっと残り続けます。
・・とはいえ、この仕組みも作って終わりではなく、
仕組み自体を
①維持する人
②破壊する人
が必要となります。
会社を大きな船に例えると、
①進んでいる方向がブレないよう、またスピードを適正に保つ（方向と速度）
②天候不順、嵐がくる、危険地域を進む際に変化に対応して進路を変える
これをやるのは、本来”船長”の仕事であり、どんなに漕ぎ手、
船員が多くても船長のいない船では長くは航海していけません。
船長の代わりは、船長である必要があります。
そう考えると、人は必ず必要という事にもなります。
となると、やはり”人の問題”で、先ほど言ったように
辞める、残らないという点をどう解決していくか。
そもそも、事業承継の目的は何でしょうか？
目的は”後継者育成”ではなく、”会社を継続的に
成長させていく”という事かと思います。
これを”後継者育成”としてしまうと、人を育てることに
目がいき、早く育てたい、と短期的な思考に陥りがちです。
また、候補者がただでさえ少ない中小企業であれば、
特定の人へのこだわりが強くなり、結果的に関係性が
崩れ上手くいかない、という事もあります。
後継者を育てる、は上手くいかない。
でも、育てなければいけない。
そのようなジレンマの中で、一つ方法があるとすれば
”承継者”を見るのではなく、”その先の承継者”を見よ、と。
仮に承継をしても、その承継者が上手くいかなければ
そもそもの目的である”事業の継続”が達成できません。
となると、承継が上手くいくかどうかは、その承継者が
次の承継者を育てられるかどうか、にかかっています。
引退間近の経営者からしてみれば、自分が引き継いで
終わり、となるかもしれませんが、このように時間軸を
より長期に伸ばすことにより、選択肢の幅が広がり
結果的に後継者育成が上手くいく可能性も上がります。
先の先、とは言ってもさすがに、ひ孫、玄孫・・・というのは
長くなりすぎますので、見据えるのは”もう一代先”までで
よいかと思います。
人は、生まれた時に死ぬことが決まっています。
事業の承継も、会社を作ったときに既に始まっています。
この、経営者にとって、ある意味”最も重要な仕事”に
気付き、どれだけ早く取り組めるか。
これが、人の承継が上手くいくかのポイントなのではないでしょうか。
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増田 鉄矢
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