海外子会社の収益性を決める黄金比率

こんにちは、東京コンサルティングファームの大橋 聖也です。

2016年よりフィリピン・ベトナムでの海外赴任を経験し、ASEAN拠点を中心に日系企業の海外子会社マネジメントの支援をさせて頂いてます。

 

【1分でわかる海外子会社マネジメントのイロハ】

No.10<海外子会社の収益性を決める黄金比率>

 

近年、海外子会社の役割は、コストダウンを目的とした機能型の製造拠点から収益アップを目的とした地産地消型の販売拠点へと変化しています。

 

コストセンターからプロフィットセンター化する上で、現地拠点長もまた部門長から子会社社長として、経営における様々な意思決定が必要になる中で、経営数字の重要性が高まっています。

 

今回は、利益最大化という観点で、海外拠点長がすべき最も重要な仕事である、「損益の黄金比率」というお話をしていきます。

 

京セラ稲盛さんが経営の原則として「売上を最大に、費用を最小に」というように、経営者は、顧客満足・社員満足を実現すべく、収益性を高め、必要利益を稼ぐ責任を果たしていかなければなりません。

厳しいことを言えば、赤字となる事業や赤字体質の会社は、事業そのものの存在価値の妥当性やビジネスストラクチャーに問題あるため、

海外拠点長は、自社のビジネス活動の単なる結果として会計を見るのでなく、どんな結果となるかを企画し、意思決定をしていく必要があります。

 

つまり、海外子会社マネジメントで重要なことは、ビジネスと会計を表裏一体に考え、ストラクチャリングすることです。

 

収益性の良し悪しを決めるポイントは、損益の考え方です。

 

一般的に収益性の悪い企業は、損益を「売上-費用=利益」という見方をしてしまいがちです。

利益は結果的に発生するものとして、利益コントロールが出来ず、また売上至上主義に偏り、利益率が悪化していく傾向があります。

 

一方で、収益性の良い企業は、「売上=費用+利益」と考え、総費用と利益を企画し、利益管理をすることで、利益率が好転していく傾向があります。

 

後者のように、利益を企画・コントロールし、高収益体質の経営を行う上で、重要なことが「損益の黄金比率を決める」ことです。

 

私自身、海外子会社の再建を何度か経験していますが、総じて、この黄金比率を持っていない(=企画がない)拠点が多いのが現実です。

一方で、一度、黄金比率を決めることで、損益管理への意識が高まり、業績も改善されていきます。

 

損益の黄金比率とは、対売上に占める理想的な総費用(変動費・人件費・経費)と営業利益の比率を決めることです。

 

この比率自体は、業種やビジネスモデルによって異なりますが、重要なことは、理想とする比率を決め、そこに近づけていくために日々創意工夫を行う事です。

 

ちなみに私自身は、弊社のような設備投資がほとんどいらないコンサルティングサービスを行う海外子会社での黄金比率を、売上を10、総費用6(変動費0・人件費3・経費3)と営業利益4と企画しマネジメントしています。

 

そして、黄金比率を企画する上で、経営者が行うべき意思決定3つをご紹介します。

 

  • 外注か内製の決定(変動費と固定費)

外注比率をいくらにするかが、自社の製品・サービスの変動費と固定費の比率を決めます。一般的には、経営資源・ノウハウ不足やスピード重視であれば、外注を使うことが効果的といえますが、将来的なコストコントロールやノウハウ蓄積という点をみると、利益重視であれば内製を目指すのが良いでしょう。

 

  • 給与水準の決定(人件費と利益)

給与水準をいくらにするかが、人件費と営業利益の比率、言い換えれば、社員と会社の取り分を決めます。良い人材確保するためには、業界水準での給与水準を高めることが大事ですが、同時に会社の取り分を犠牲にするのではなく、高付加価値サービス・生産性アップを進めていく必要があります。

 

  • 月次決算早期化の決定(利益重視)

月次決算早期化は社長の意思決定によって、初めて達成できます。

傾向として、即時決算を重要視してる企業は、利益率が高くなっていきます。

その理由は、即時決算を実践してる企業は、トップである社長が「売上ではなく、利益を見てる」証拠だからです。決算早期化ができなければ、売上の管理はできても、着地の利益の管理ができないからです。

 

 

最後に、黄金比率を掲げる最大のメリットは、稲盛さんの「値付けは経営なり」という言葉にある通り、

最終的には総和である売上の構成要素であり、かつ収益性に影響を与える単価、つまり「価格決定権」を持つための創意工夫をすることです。

 

トップである海外拠点長が、どれだけ変動費や固定費を抑える努力をしても限界があります。

本質は、「売上を最大に、費用を最小に」とある通り、いかに高付加価値の製品・サービスを生み出し、より高収益体質の企業を実現することが大事です。

 

顧客ニーズが高く・競合が提供できない高付加価値の事業であれば、価格決定権を持つことが可能になっていきます。

 

現状の売上構成の中で、価格決定権を持っている比率を高めること目指し、セールスミックスを考える必要があります。

 

まずは理想として黄金比率を企画し、それを達成するための総費用と利益管理を図ると共に、価格決定権のあるマーケティング・販売価格を念頭に置いた日々の意思決定をしていくことが海外子会社を高収益体質化する重要な着眼点となります。

 

経営数字の見方・活かし方から人材育成まで、海外子会社マネジメントにお困りの方は、お気軽にご相談・ご連絡お待ちしております。


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