心の部分をどう評価する?

こんにちは、株式会社東京コンサルティングファームの小林です。

 

前回は成果主義のメリット・デメリットについて解説し、成果で評価する部分と、思考・志向で評価する部分をハイブリッドで運用すべきだと述べました。

 

今回はこの思考・志向の評価をどのようにするかについて考察したいと思います。

まず、こういった部分は目に見える形での評価を行うのは難しいという点をあらかじめ理解していなければなりません。

直接的に評価できるものではないので、間接的な評価を行わざるを得ないということになります。

 

そこで、会社にとって望ましい思考・志向を持った人間が、どのような行動をとるのかを考えていくことになります。

例えば、自分の成果さえ出ていれば良いと考える人材は、短期的にはプラスにはなりますが、長期で考えれば、会社全体を個人主義にしてしまうような影響力を持ってしまうことが往々にしてありますので、必ずしも望ましい思考・志向を持っているとは言えません。

 

逆に、自分の成果ではなくチームや組織の成果を考えて、時には自らを犠牲にすることができる人材というのは、会社が成長すればするほど、組織にとって重要な人材になる可能性が高いです。

 

では、こうした人材は普段どのような行動を取っているのでしょうか?

周りで困っている人をフォローしたり、自分のノウハウを余すことなく部下・後輩に教えていたり、自分はできる仕事でもきちんとマニュアルや手順書の形で形式知として残していくといったことを行っているのではないでしょうか。

 

だんだんと、行動がイメージで来て具体的なものになりましたね。

 

こうした行動を、自発的にできる人材というのは非常に会社にとってありがたい存在ではありますが、誰もが当たり前にできるというものでもありません。しかし、こういう行動をとって欲しいよね、と会社が明示することはできますし、こういう行動をとれる人材を会社が評価するということを社員にあらかじめ示すことはできるのではないでしょうか。

ここがポイントになります。

 

会社が必要とする社員の行動パターンをまずはいくつか列挙してみましょう。そしてそれを社員に示すということがまず重要になります。お気づきの方もいるかもしれませんが、以前の私の記事で述べた、経営理念やビジョンをきちんと社員に示すということに似ていませんか?

実は、会社が社員に求める行動というのは、会社の理念を体現できる人材に他なりません。但し、経営理念やビジョンというのは、それだけでは具体的にどういう行動をとれば良いのかというのは社員からしてみればイメージしづらいケースが大半だと思います。

 

そこで、より具体的に望ましい行動の累計を示していくことが必要になります。しかし、社員に求める行動という点で言えば、先ほど述べたような利他の精神以外にもたくさんの要素があると思います。スピードを重視することや、戦略的な考え方ができること、長期的視点で企画や行動ができること、あと整理整頓ができる、礼儀正しさやきちんと挨拶ができることなども含まれるかもしれません。

社長が大切にしたい企業文化や会社にとって必要な行動は何か?という観点で、望ましい行動を考えていきますが、併せて幹部や社員からもどのような行動がいいのかという意見を募ってもいいかもしれません。

 

このように望ましい行動をいくつか挙げて、その中で、最も会社の未来にとって重要なものをいくつかピックアップします。評価期間によって定期的にその内容を見直してもいいと思います。気を付けていただきたいのが、数が多すぎると焦点がぼやけてしまう可能性があるということです。多くても10項目以内にするのがいいと私は思います。

 

それらの項目に沿って、今度は社員自身が自身の職務に関連して、より具体的な行動目標を定め、それを上司とすり合わせていきます。

上述の利他、戦略性、長期視点、礼儀正しさというのは、まだ抽象的、概念的な内容ですので、きちんと社員の行動のレベルで具体的にしていくことが必要になります。ここでのポイントは5W2H(When, Where, Who, What ,Why, How, How much)を可能な限り明確にするということです。

これは被評価者自身が目標をより見える化するということと、評価者が適切に評価できるようにするという意味があります。理想的にはどこまでできればどの評点がつくのかというレベルまで具体化できていることが望ましいです。

 

また、非常に重要な点になりますが、いったんその行動目標でよい評価結果になったら、次の評価期間は同じ項目であっても別の内容にするということをルールにした方が良いと考えます。すでにできていることに対して、プラス評価をし続けるというのは、社員の成長につながりません。すでにできていることについては、すでに今の給与で評価済みなのです。

 

このように、思考・志向は具体的な行動を評価基準にすることで評価可能になるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。具体化することで、逆に本質的なものではなく、形式的なものになってしまうという意見もあるかもしれません。
しかし、思考・志向というのは、行動に現れるという因果関係を考えると、良い行動をとれる人材イコール、正しい思考・志向を持っていると考えることができますし、もし形だけやっていればよいと考えてやる方がいたとしても、ずっとそうした行動が取れているということは、結果的には会社にとって望ましい人材になっていると言えるのではないでしょうか。形から入り心を知るということですね。

 

以上、お読みいただきありがとうございます。

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