輸出企業に対しての外貨規制

投資環境・経済

アメリカのトランプ新大統領が目玉でもあった、TPP政策を一旦破棄すると公表し、貿易国であるマレーシアは非常に大きな痛手を受けると予想されます。

また、IMFの発表によると、マレーシアは年末の外貨準備見通し額が1000億ドル(約11兆3000億円)に対して短期の対外債務が1282億ドルと赤字であることが分かっています。

11月度の為替市場では、マレーシア・リンギット(以下リンギット)は、対ドルに対してのパフォーマンスが、アジアの新興市場通貨の中で最悪でありという結果が出ており、資本流出について新興国の中で最弱であるというレポートを発表しています。

 

そのような背景もあり、リンギット安に歯止めをかけるべく、マレーシア中央銀行は、外貨に対する資本規制を12月2日(金)に公表しました。この規制は、12月5日(月)より、適用されるとのことです。以下、マレーシア中央銀行のホームページにある内容を邦訳いたしました。

 

http://www.bnm.gov.my/index.php?ch=en_press&pg=en_press&ac=4316&lang=en

 

なお、規制の概要は下記の通りとなります。輸出企業が対象となります。

 

1)     exporters to retain only up to 25% of export proceeds in foreign currency as against 100% at present. They may, however, hold higher balances with approval from BNM to meet their obligations in foreign currency.

  輸出業者が輸出で得た外貨につきましては、現在、100%を手元に残すことができます。しかし、それが25%までしか手元に残せなくなります。25%超の外貨保有についてはマレーシア中央銀行の許可が必要となります。

 

2)     Payment by resident exporters for settlement of domestic trade in goods and services is now to be made fully in ringgit.

  今後は国内取引(モノ、サービス)をすべてリンギットで行う必要があります。輸出業者が外貨を使用することはできなくなります。

 

3)     FMC said all ringgit proceeds from exports can earn a higher rate of return via a special deposit facility. The facility for ringgit proceeds will be offered to exporters via all commercial banks and receive a rate of 3.25% per annum. This facility will be offered until Dec 31, 2017 subject to further review.

 

  輸出業者が輸出で得た(両替後の)リンギットは全銀行の特別な口座を通じ、市場金利より高利率(年3.25%)の金利が適用されます。この措置は2017年12月31日まで適用されます。

 

4)     Exporters are also able to hedge and unhedge up to six months of their foreign currency obligations.

 

  輸出業者は6か月までの外貨債権債務についてヘッジを行うことが可能です。

 

主なポイントは、輸出企業に対して、今まで外貨保有が100%認められていたのが、25%までしか保有できなくなったこと。国内の取引においてリンギットで行わなければならなくなったことです。リンギット安が止まらず、資本が流出している現状に歯止めをかけたいという政府の意向が透けて見えてきます。

 

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