こんにちは、中国・上海の田中勇です。
本日は米国・日本企業の求人広告の違いについてお話します。
求人広告を見ることで、その会社の人事制度の一部を垣間見ることができます。米国・日本企業の求人広告の違いを比較すると、違いがよくわかります。
米国企業の求人広告は、入社条件等が非常に細かく設定されております。業務遂行に必要な資格・経験・能力が具体的に示されております。また、入社後の具体的なプロジェクト・職位、給与額等が詳細に定められております。
一方、日本企業の求人広告の多くは、職務や給与額が明確に定まっていないケースが多いです。例えば、業務内容が「営業」で表示されていることが多く、給与についても「応相談」というあいまいな言葉で表現されていることがあります。
この現象の背景には、明確な人事制度の有無が影響していると考えられます。人事制度の策定においては、①企業の目標を達成するための求める人物像の設定、②その必要な人物の条件抽出③行動・実績管理、評価制度と融合というプロセスが必要になります。これらのプロセスで作られた人事制度がなければ、求人広告にも詳細を記載できないのです。日本企業においては、明確な人事制度を設けていない企業が多く、また人事制度があっても中国人にマッチしていないケースがあるのです。実際、上海においては、欧米企業に比べ日本企業の人事制度に対する不満が多くその結果、優秀な人材が日本企業から流出しております。
世の中には完全なルールは存在せず、必ず抜け穴があります。その穴を埋めるのは会社と社員の信頼関係です。しかしながら、ルールがなければ社員は混乱し、会社と社員とのベクトルを合わせるのが困難な状況に発展するケースもあります。人事制度は企業の思いを映す鏡です。経営者の強い気落ちを詰めた人事制度づくりが日本企業に求められております。
以上です。