M&Aにおける企業評価について

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日は、M&Aにおける企業評価についてお話します。

中国では、企業価値評価指導意見(試行)や固有資産評価管理規則等によって企業評価手続きが定められています。しかしながら、実際は、中国側に有利な企業評価が行われるケースがあることに注意する必要があります。理由は、中国の企業評価制度の最も重要な主旨は、中国国有資産の不当な低価価格評価による海外流出であるためです。また、実務上、中国における企業評価プロセスは、日本側にとって不透明になることがしばしばあります。さらに、法定評価結果よりも中国側にとって不利な合意価格の場合、認可されないこともあります。
 中国で主に使用される企業評価方法は以下の通りです。

評価プロセスについては、中国側に一方的に任せるのではなく、早い段階から日本側も積極的に意見し、決めることが重要です。具体的には、評価師の任命、企業評価方法の決定、企業価値決定の方法、会社の調査権・評価ドラフト書面の査閲権の明確化を日本側からも意見し、決定するべきです。例えば、企業価値決定の方法について、中国では二つの方法があります。一つは、企業価値のレンジを決めず、法定評価結果に委ねる方法。二つ目は、あらかじめ企業価値のレンジを決めておき、法定評価結果を参考にして、企業価値を決定する方法です。中国の法規上は一つ目の方法が原則とされていますが、実務上二つ目の方法を採用することが可能です。どちらがお互いに納得のいく方法なのか議論し、決定する必要があります。
政府からの認可においては、例え日中両社がお互いに合意している価格であっても、その合意価格が法定評価価格よりも10%以上乖離している場合には、認可されないことがあります。特に中国側に不利な場合は、認可されないリスクが高いです。
法定評価価格を計算する評価師は、あくまで客観的な評価を行うため、日本及び中国側が個別に同意した事項について柔軟な対応を望むことは難しいです。ただし、比較的小規模な評価事務所や個人事務所では、当事者間で企業価格のレンジがあらかじめ定められている場合は、柔軟な対応をしてくれるところがあります。また、一般的に、評価師が一度決定した評価内容については、大幅な修正は困難です。評価師の面子に関わることだからです。

以上

 

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