研究開発費用の追加控除比率の引き上げについて Q&A

こんにちは、中国・上海の三輪常敬です。

 

Q,

研究開発費用の追加控除比率が引き上げられたと聞きました。詳細を教えてください。

 

A,

2017年1月1日~2019年12月31日において発生する科学技術型中小企業の研究開発費用について、税引き前の追加控除比率を現行の50%から75%に引き上げられました。

(財税[2017]34号通達)

また、上記の適用対象である「科学技術型中小企業」に関する評価指標と申請手続きについても明確化されました。(科学技術型中小企業評価弁法 国科発政[2017]115号通達)

 

新規定のポイントは下記のとおりです。

 

① 優遇措置の強化(75%への引き上げ)

科学技術型中小企業の研究開発活動において実際に発生した研究開発費用について、当期の費用と計上する場合は、規定に基づき実際の発生額を控除したうえで、2017年1月1日から2019年12月31日の間に、研究開発費用の75%を追加控除すること、及び無形資産を形成する場合は、上記の期間において、無形資産原価の175%を償却することが認められます。従来は50%の追加控除であったため、新規定では優遇措置が大きくなりました。

 

② 自主評価での申請・登録

科学技術型中小企業資格は、企業による自主評価によって判断されます。科学技術型中小企業評価弁法の規定に従い、自社が科学技術型中小企業の認定条件に合致するかを自主評価し、全国科学技術型中小企業情報サービスプラットフォームで企業情報を登録し、オンライン上で科学技術型中小企業情報表の記入を行います。これにより、当企業が75%の研究開発費用追加控除の適用を受けることができます。

 

③ 科学技術型中小企業の評価指標の明確化

科学技術型中小企業の評価指標の明確化されました。

科学技術型中小企業は、下記の条件をすべて満たす必要があります。

1 中国国内(香港、マカオ、台湾を含まない)で登録された居住者企業である。

2 従業員数が500人、売上高が2億元、資産総額が2億元を超えない。

3 企業の提供するサービスが、国家による禁止、制限、淘汰類に該当しない。

4 申請を行った当年度及び前年度において、重大安全事故と重大品質事故が発生しておらず、環境関連の厳重違法行為と科学技術研究関連の厳重失墜行為を行っておらず、企業経営異常リスト及び厳重違法失信企業に記載されていない。

5 企業が科学技術型中小企業評価指標に基づき行った総合評価の採点結果が60点を下回らず、科学技術人員の指標採点が0点ではない。

1) 科学技術者指標(20点満点):科学技術者が企業の従業員数に占める割合

2) 研究開発への投資指標(50点満点):研究開発費用が売上高或いは原価・費用に占める割合

3) 科学技術成果指標(30点満点):主要製品(或いはサービス)について保有している有効期限内の知的財産権の種類、数量

 

 

研究開発費用の税引き前追加控除比率が75%に引き上げられることは、中小企業にとって研究開発への投資強化につながる有利な政策です。

なお、優遇政策の適用を享受するためには、期限通りに情報をアップデートするなどコンプライアンスを遵守する必要があり、それができなかった場合は適用資格を失う可能性があるため注意が必要です。

 

 

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