こんにちは、中国・上海の安孫子 悠治 (アビコ ユウジ)です。
今回は中国における加工貿易の形態についてお話します。
中国では、一時期の工場設立の増加からしばしば加工貿易が行われております。
加工貿易の形態は主に下記の2つがあります。
1.来料加工:外国企業より無償で原材料の提供を受け、加工・生産を行い、完成品を当該外国企業に全て無償で輸出する取引形態
2.進料加工:有償で原材料を調達し、加工・生産を行い、完成品を外国企業に輸出する取引形態
来料加工は、簡単に言えば、
あるA国企業から材料をすべてもらい受け、加工した後、全て当該A国企業のみに戻すスキームです。
結果として、外国企業から中国企業には加工賃のみが支払われることとなります。
完成品は原則として100%輸出が義務付けられており、原材料も輸入原材料の使用が原則となることから、原材料たちは海外からわざわざ加工されにやってくることになるわけです。
それだけ中国での加工に、コストもしくは技術面でメリットがある際にこの貿易形態が用いられます。
対して、進料加工は、
あるA国企業から材料を輸入し、加工した後、ある程度自由に販売することができるスキームです。
来料加工は、加工委託元である外国企業に完成品販売の意思決定権があったが、進料加工は加工・生産を行う中国企業が販売まで行う。
しかし、来料加工の形態として認められるには、完成品の大部分を輸出する必要があります。
来料加工、進料加工はそれぞれ委託加工契約、委託加工契約・売買契約に基づき行われます。また、両形態とも関税。増値税の保税措置が適用されます。
昨今の中国工場では、人件費等のコストの高まりから生産拠点から開発拠点へのシフトチェンジや、生産拠点のベースを他国に移すケースも散見されます。
開発拠点としての価値が高まった場合、コストのみならず、技術面でのメリットを考慮しての加工貿易が行われる可能性もあります。
経済状況と制度の変更には十分な注意が必要です。
今回は以上です。
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