こんにちは、中国・上海の安孫子 悠治 (アビコ ユウジ)です。
今回は中国の個人所得税法の改正についてお話します。
2018年8月31日の第十三次全国人民代表大会常務委員会第五回会議より個人所得税法の改正案が正式に採択される運びとなりました。
改正点としては総合課税の導入・税率構造の変更等がありますが、ここでは居住者及び非居住者の概念が明確化された点について述べていきます。
現行規定では満1年滞在する個人が中国の「居住者」とされておりました。
この「満1年滞在する」というのは「一納税年度における中国滞在日数が365日以上」となることを意味しております。
また、一度の出国で30日を超えない、或いは一納税年度の累計出国日数が90日を超えない場合は「一時出国」とされ、中国に滞在していたとみなされます。
対して、改正案では183日以上居住する個人を「居住者」とする概念が導入されます。そのため、滞在日数が183日未満となる個人は「非居住者」となります。
この点に関して現行規定と改正案を簡単に比較すると、
・現行規定:中国に満1年(365日)滞在する個人は居住者
・改正案 :中国に183日滞在する個人は居住者
ということになります。そのため、中国での滞在日数が183日以上満1年未満で「非居住者」となっていた個人も「居住者」とみなされることとなります。
居住者への課税が全世界課税であり、非居住者への課税対象が国内源泉所得となっております。
改正案を参考とするならば、理論上は現行規制では中国滞在日数が183日以上満1年未満の非居住者である個人が、改正案では居住者として扱われ、課税対象が全世界課税となります。
ただし、実際の施行は来年からであり、具体的な解説も政府から発表されていないため、政府からの発表を待つ必要があります。
また、中国への出張者については日中租税条約に基づき、これまでも中国への滞在日数が183日を越えるか否かで中国国外支給給与に対する納税の有無が判断されていたため、この点においては実務上大きな変化はないと考えられます。
今回は以上です。
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