中国企業の海外進出について

こんにちは、中国・上海の田中勇です。
本日は、中国企業の海外進出について、お話しします。海外進出を検討に入れる中国企業が増え続け、実際中国の対外投資額が10年連続で増加しています。1. 中国企業はどこに投資しているのか 2. 日本に対する投資 3. どのような業種が海外進出をねらっているのか をご説明します。

1. 中国企業はどこに投資しているのか
中国投資家は141か国の海外企業4425社に直接投資を行っています。(2012年の中国商務部の沈丹陽報道官による定例記者会見)主な投資先はどこなのか。中国企業の上位投資先ランキング(2011年:全額746億5000万ドル)を見てみます。
①アジア(350億ドル以上)、②欧州(82億5000万ドル)③大洋州(33億2000万ドル)④アフリカ(31億7000万ドル)⑤ラテンアメリカ、⑤北米(24億8000万ドル)なお、アジアの内訳は、香港(約350億ドル)が最も大きく、次にシンガポール、ミャンマー等が続きます。

2. 日本に対する投資
中国から日本への直接投資額は約11億ドルです(中国商務部「2010年度中国対外投資公報」より)。中国の対外投資額ランキングでいうと22位です。中国企業の日本への進出は、潜在的な可能性は大きいが、ハードルが高いと言われております。潜在的な可能性とは、「日本の高い技術・ブランド・経営ノウハウ」と「中国の巨大市場・労働力・資金」の相互補完関係成立を意味しております。ハードルとは、日本の保守的な企業風土、日本の高コスト、優遇策が少ない、就労ビザ発行の厳しい条件等を指します。

3. どのような業種が海外進出をねらっているのか
ストックベースでいうと、ビジネス・サービス(33%。但し、資源・エネルギー関連がメイン)、金融(15%)、採鉱(15%)、卸売・小売り(11%)、製造(6%)。フローベースでいうと、卸売・小売、ビジネス・サービス、製造、採鉱等が急増しています。資源・エネルギー関連は、メインとして国営企業が投資しています。一方、民間の自動車メーカー等は、販売網拡大・ブランド・技術獲得のための外国企業買収が散見されます。例えば、浙江吉理控股集団有限公司の米フォード傘下ボルボ買収(2008年)、広東美的集団の山洋電気のマイクロ波発振器の製造技術と製造設備の買収(2001年)、上海電気集団のアキヤマ印刷機製造の買収(2002年)です。

中国の企業の多くは、これまでの貿易黒字により豊かな財力を備えおります。今備えるべきは、ブランド、技術、進出現地の販売網なのです。したがって、今後も国際に通用するブランド・技術・販売網獲得目的の、国際M&Aや株式参入が増加すると考えられます。

関連記事

ページ上部へ戻る