会社設立前の資金について

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日は、会社設立前の資金についてお話しします。

日本を含む諸外国では資本金を振り込んだ後会社設立手続きをしますが、中国においては会社設立登記をした後、資本金を振り込むという手続きをします。したがって、会社設立前の資金調達についての問題が発生します。

最も多く取られている手段として、「前期費用外貨口座」の開設があります。この口座は、資本金口座とはまったく別の口座であり、会社設立手続きに必要な資金引出口座です。しかしながら、前期費用外貨口座の使用は厳格に管理されており、口座開設可能金額や使用用途制限がある点に注意が必要です。例えば、口座開設可能金額は、会社ごとに定められます。また、土地使用権購入のための資金については、用途は土地使用権購入手付金のみに限定されています。一般的には、資本金口座開設予定の銀行に開設します。理由は、会社設立後、臨時口座取消手続を行い、前期費用外貨口座内の残金を資本金口座に移す手続きが便利になるからです。

そのほかの手段として、関係のある中国現地法人等に立て替えてもらう、または日本本社から直接送金して立替払いする方法があります。ただし、日本本社からの送金については注意する点があります。親会社が立て替えた中国現地法人の各種費用については、中国現地法人は親会社へ送金できないためです。立替金送金が制限される理由としては、①送金を容認する規則がないからと言われております。国家外貨管理行政許可項目表の発布に関する通知(匯発[2010]43号)の通達で、US$10万/回以内の、グループ企業間の立替金は、銀行判断での送金が認められているものの、具体的な対応は各地域によって異なります。ただし、上海市では(上海匯発[2010]192号)一定項目(給与・保険・旅費交通費・研修費など)の立替金決済が実施されています。

最後に、以前は、臨時資本金口座から出金した立替金や親会社が出した立替金を資本金に振り替えられていました。ただし、現在はその方法も制限される地域が散見されますので、ご注意ください。

以上

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