失敗しないための合弁契約

こんにちは、中国・上海の小林です。

中国には製造業をはじめとする多くの日中合弁企業があります。もちろん合弁にあたり、あらかじめ両社の権利・義務などを定めた合弁契約書を交わし、実際の会社を設立しているケースがほとんどだと思います。

しかし、この合弁契約の内容が十分でないばかりに合弁相手とのトラブルに巻き込まれることも少なくないのが現状です。この相手と組もうという気になっているからこそ合弁契約を結ぶわけですが、しかし実は、いつまでも良い関係が続くわけではないという観点に立って、いざうまくいかなかった場合はどのように対処するのかを契約文言で定めることが重要なのです。言い換えると、最悪の事態を想定して、そのリスクをマネジメントするために合弁契約を準備するのが本来あるべき姿であるわけです。

では、具体的にどのような取り決めが求められるのでしょうか。それは会社の成立から実際の経営というタイムラインにそって考えるとわかりやすいと思います。たとえば、会社の設立手続きの初めに社名の申請を行いますが、合弁会社の社名は株主である両社の会社名の一部ずつを取って名前を付けることが多いと思います。ところが、将来合弁解消し、資本関係がなくなった場合にその社名が残ってしまうのは、あまり都合が良くないと思います。そうした場合に備え、合弁解消時や資本関係に変化があった場合に社名の変更を義務付けるといった感じに合弁契約書に記載しておけば、そうしたリスクをヘッジできることになります。さらに、会社の設立時に資本金を払い込むわけですが、仮に相手方が自身の出資分をいつまでも支払わないときはどうするか?また、相手方が土地使用権などを現物出資する場合、その使用権の期限が到来したときは、どのように対処するか?商圏はどこまで拡大するのか(親会社がすでに持っている販路に影響が及ばないように)?という感じで、経営サイクルの中で、将来問題が発生する可能性があるところを順に契約でつぶしこんでいくことが重要です。
また最後に、会社を清算する場合や、万一両社間で紛争が解決しない事態が発生した場合の管轄裁判所などについても取り決めておく必要があります。

あまり関係をこじらせたくないと詳細まで契約事項を詰めないで合弁を進めてしまいがちですが、合弁契約書は問題が起こった場合にさらに関係がこじれることを防ぐための手段でもありますので、お互いの立場を尊重しながらも、きちんと作成することをお勧めします。

以上です。

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