なぜ日系企業の利益率は低いのか

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

中国においては、日系企業は欧米企業と比較して、利益率が低いです。本日は、その理由と対策についてお話しします。

日系企業の利益率の低い理由は、そもそもコストセンターとして中国に進出している企業が多いという特殊事情があります。しかしながら、もっと重要な理由があります。その理由は、欧米企業の多くが中国国家戦略を理解し、中国経済のパターンを正確に読み取っているという事実です。

例えば、中国で成功しているフォルクスワーゲンです。フォルクスワーゲングループの世界全体における、大衆車向け自動車の利益率は4.9%です。ところが、中国においての利益率は、7.2%になるのです。この数字はいかにフォルクスワーゲンが中国で成功しているかを示しております。

ここで、なぜ自動車業界に強い日本を差し置いて、ドイツのフォルクスワーゲンが成功したのか。この理由は1980年代、中国政府の方針転換(小平の南巡講和)にいち早く反応し、中国で生産販売を開始したからなのです。実際、当時の中国政府が国家自動車発展戦略を発表した際、中国政府は日本の大手自動車メーカーに協業について提案がありましたが、その日本メーカーは断ってしまいました。断った理由は、「未だ中国は自転車の世界であり、自動車業界の進出は早すぎる」というものでした。日本のメーカーに断られた中国政府は、フォルクスワーゲンに提案し、フォルクスワーゲンは中国からの提案を受け入れたのです。

経営戦略の構成要素は「領域」「資源展開」「競争優位」「シナジー」で構成されております。このうち、「領域」とはその企業の事業領域を指します。この「領域」の設定によって企業の将来の活動が決まり、競争相手が決まります。さらに、この領域の設定の要素は、3つあります。「市場」「ニーズ」「能力」です。つまり、「どこの市場」で「どのようなニーズ」に対して「どのような能力がある商品」を活かしてビジネスを展開すべきなのかということです。これらを決定する際、一番重要なことは、経済成長パターンを正確に捉え、かつ中国国家戦略を理解することなのです。

ちなみに、中国国家戦略として、現在公布されている最新の情報は「産業移転指導目録(2012年度版)」(工業情報化部広告第31号、2012年7月26日公布)があります。この目録は、産業の秩序ある産業移転を促すもので、中国工業のグレードアップを図るものです。

以上です

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