顧客の価値観を理解する方法

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

前回、日系企業が中国事業で成功するには、中国国家戦略を理解し、中国経済のパターンを正確に読み取ることが重要であることを述べました。本日は、次のステップにおいて何をすべきなのかをお話しします。

中国経済の流れを読み取った後は、中国の顧客の価値観をよく分析することが重要です。中国に限らず、ビジネスで成功するには、顧客の価値観を理解し、信頼関係を築くことが必須です。では、具体的に顧客の価値観を理解するにはどうすればよいのでしょうか。これは、現地で情報を集め、自分の目で確認するのがベストだと私は考えます。特に、海外ビジネスにおいては、現地に何度も足を運び、その国に深く入り込み、価値観を理解する必要があります。メディアからの情報だけでは、明らかに情報量が足りないからです。また、ときに偏重な情報によって誤った判断をする材料になる可能性もあるのです。特に、途上国に比べ新興国の場合は、顧客の価値観が変わりやすいので、細心の注意を払うべきなのです。

例えば、日本の会社が、日本で販売している布団をそのまま中国で販売するとしましょう。おそらく、価格をローカル商品と同じにしても、現地の方には売れないと考えられます。なぜなら、日本の布団と中国の布団は形も厚さも異なるからです。日本の布団は小さく、厚いのが一般的です。一方、中国の布団は、正方形型で大きく、薄いのが一般的なのです。この違いはなぜ起こるのか。習慣の違いがあるからです。一般的に日本人は仰向けに寝て、その上に布団を掛けるので、体に沿った形で厚い布団が最適です。一方中国人は、横向きに寝る方が多く、大きな布団を袋状にしてその中にくるまって寝るという習慣があるのです。このように、実際に現地で生活してみないとわからない情報が多くあるのです。その現地で得た情報を基礎として、製品を現地向けにカスタマイズする必要があります。

また、法律の変化を素早くキャッチし、消費者心理にどのような影響を与えるのかを検討することも重要です。例えば、上海では、多くの人がエコバッグを持っていることに気づきます。これは、レジ袋制限令【限塑令】(2008年6月)により、中国全土でスーパーマーケットやコンビニでのビニール製レジ袋の有料化が実施されているからです。この法律改正をうまく利用したのが、City Super(香港)です。City Superはおしゃれなエコバッグを販売することで、法改正をビジネスチャンスに変えたのでした。

以上のように、中国の顧客の価値観を分析するには、現地に入り込み価値観を理解し、さらに法改正などの消費者心理に与える情報に敏感になることが重要です。ちまみに、最近の法改正としては「環境保護法」(2012年12月20日)の改正があげられます。具体的な内容は割愛いたしますが、今回の改正により、環境保護行政の方針の明確化・政府の責任と監督の強化がなされました。直近の日本企業への影響はないと考えられますが、今後は環境保護も考慮に入れた中国進出・経営が重要になるでしょう。

以上です。

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