中国の産業別動向-製造業-

■製造業
[繊維産業]
化学繊維生産量は約4,121万トンで世界の生産量の3分の2、綿花は生産量も消費量も世界一、中国は圧倒的な国際シェアを持つ繊維大国です(2013年時点)。しかし、以前より「繊維大国から繊維強国」への移行を目指しており、量から質への転換が図られています。伝統的に中国の加工貿易の代表であった繊維産業は大きな転機を迎えています。従来から安価な労働力を売りに、長年にわたり世界一の輸出額を誇ってきましたが、人手不足と人件費の高騰が労働集約型産業である縫製業などに大きな打撃を与えています。沿岸部に多くのメーカーがありますが、人件費が比較的安い内陸部やASEAN諸国を含めた地域に新たな生産拠点を求める動きが加速しています。
[自動車産業]
中国の自動車生産台数は、2006年にドイツを、2008年にはアメリカを、そして2009年には日本を上回り、世界最多となりました。2014年の生産台数は2,372万台です。
その最大の要因として、国際金融危機や欧州財政危機などを背景として先進各国メーカーの業績が低迷していたこともありますが、中国の国内需要の飛躍的な伸びが挙げられます。2000年代前半では、自動車はごく一部の高所得者層に限定的に普及していた贅沢品でした。しかし、その後数年間で国民全体の所得水準が大幅に上がり、中所得者層の購買力が増加したことで急激に普及しました。5万元以下の自動車が多く生産されたこともあり、低価格帯の自動車の売上が急速に伸びています。
中国は世界一の自動車生産国となりましたが、中国自動車業界は多くの課題を抱えています。生産性は日本の3分の1にすぎません。また、中小規模の完成車メーカーが100社以上乱立しているという問題もあります。中国がWTOに加盟してからは世界的な自動車メーカーの本格的な資本投下に加え、国内の新興資本の相次ぐ参入もあり、マーケットが拡大しているにもかかわらず競争が激化して、赤字企業も少なくないというのが現状です。
世界最大の自動車生産国になったとはいえ、中国自動車メーカーの技術に対する世界的評価は低いです。そこで中国資本のメーカーは海外メーカーの買収とともに生産性と技術力の獲得を積極的に行い、飛躍的成長を遂げています。

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