会社初期費用と維持費用(会社設立後)

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

本日は、上海における会社初期費用と維持費用についてお話します。これから中国に進出をお考えのお客様より、会社設立後の初期費用と維持費用についてよく質問を受けます。それぞれの費用は、オフィススタイルによって金額が異なります。オフィススタイルとしては、主に(i)自社オフィス、(ii)レンタルオフィス、(iii)自宅兼オフィスの3つがあります。以下、それぞれのタイプにおける、①会社設立後の費用と②維持費用について記載致します。なお、下記の前提として、社員数:3人(日本人駐在員1人、現地営業スタッフ1人、現地事務員スタッフ1人)を想定しております。また、あくまで最低限いくらかかるかを示したものであり、通常は下記に示している金額以上に費用発生しますので、目安としてご参照願います。

①会社設立後の初期費用について
(i)の自社オフィスを選択した場合、オフィス器具(パソコン3台、プリンター、固定電話等)、家具(イス、机、ロッカー等)が発生します。オフィス器具は最低でも50万円、オフィス家具は最低でも20万円発生します。したがって、自社オフィスの場合は、最低でも70万円近く発生することを念頭に入れる必要があります。また上記の他、事務所の補償金(事務所家賃の2倍)支払い等の一時的な出費、場合によっては内装代も発生することがありますので注意が必要です。ちなみに、内装費は100m2の場合、90万円(60,000元)かかることがあります。
(ii)のレンタルオフィスの場合は、初期費用を非常に低く抑えることができます。レンタルオフィスの器具等を使うことが可能だからです。レンタルオフィス会社によって異なりますが、3デスクで月額約18万円(12,000元)~使用可能です。この18万円の中には事務所家賃等のランニングコストが含まれております。したがって、自社でパソコン(約30万円)を用意すれば、最低限の事業活動を始めることができます。ただし、ミーティングルームの使用は、別途料金が発生するところが多いので注意が必要です。
(iii)自宅兼オフィスの場合は、自社オフィスと同様にオフィス器具と家具をそろえる必要があります。したがって、こちらも最低でも70万円近く発生します。また場合によっては内装代等も発生します。

②維持費用について
(i)自社オフィスの場合は、主な維持費用として、事務所家賃、人件費、水道光熱費、通信代、会計顧問料、駐在員の住居費用等が発生します。事務所家賃は規模・質によって異なりますが100㎡で約22万円(15,000元)/月、人件費は約55万円/月(日本人駐在員1人:35万円、現地営業スタッフ1人:約12万円【約7,500元】、現地事務員1人:約7万円【約4,500元】※現地スタッフは新卒・日本語検定1級レベル・社会保険料と税金は全額会社負担を想定)、水道光熱費は、約2万円(上海における事務所用の電気代は高く、3人ほどの事務所であっても1万元ほど発生します)、通信代は2万円(2メガのADSLを使用した場合でも、1万円程の通信が発生します。)、会計顧問料は6万円(日系会計士事務所の場合を想定)、駐在員の住居費用は7.5万円/月(セキュリティーを考慮してランクが高い住居を想定)発生します。したがって、合わせて最低でも95万円/月かかります。
(ii)レンタルオフィスの場合は、主にレンタルオフィス代、人件費、駐在員の住居費用、その他経費のみが発生します。したがって、レンタルオフィス代(約18万円/月)、人件費(約55万円/月)、駐在員の住居費用(約7.5万円/月)のみを考慮すると、81万円ほど発生します。
(iii)自宅兼オフィスの場合は、駐在員事務所家賃及び管理費用・通勤費等が節約できます。自宅兼オフィス月額費用(約22万円)と人件費(約55万円)、水道光熱費(約2万円)通信代(2万円/月)、会計顧問料(6万円)のみを考慮すると、87万円ほど発生します。

【事務所スタイルごとの初期費用と維持費用(月)】

事務所
スタイル
自社
オフィス
レンタル
オフィス
自宅兼
オフィス
初期費用 70万円※1 30万円※2 70万円※1
維持費用 95万円 81万円 87万円

※1:内装費は含みません。
※2:パソコン3台のみ購入し、他の備品はレンタルオフィスから借りることを想定

以上のように、(ii)レンタルオフィスと(iii)自宅兼オフィスについては、コストを低く抑えることができるというメリットがありますが、顧客への印象はあまり良くないというデメリットがあります。したがって、メリット・デメリットを考慮して意思決定する必要があります。実際、最初の1年目はレンタルオフィスか自宅兼オフィスで事業を行い、2、3年目から自社オフィスを構えるというパターンが多いです。

以上です。

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