中国での事業拠点の設立-日本側の手続き-

■現地法人情報の決定…❶
[商号候補の選定]
現地法人の商号(会社名)を選定します。有限責任会社であれば「有限責任公司」または「有限公司」、株式会社であれば「株式有限公司」または「股份有限公司」を商号の中に記載しなければなりません。また、商号は中国語(漢字)表記でなければなりません。
[機関設計]
中国に現地法人を設立する場合、有限責任会社の形態を選択する例が大多数です。有限責任会社を設立する場合、最も簡素な機関設計は、取締役(執行董事)1名、監査人(監事)1名です(会社法51条、52条)。
[資本金]
これまで最低資本金の定めがありましたが、2013年に改正され(会社法26条)、法律上は、資本金が1元でも設立可能になりました。ただし、実務上、経営を行うのに必要な資金の確保が会社設立申請時に要求されます。外資の場合はどのような業種であっても最低3万元以上を資本金とするケースが多いです。
[登記住所]
中国の登記住所は二重登記が認められていません。そのため、現地法人を設立する前に既に中国に事務所を保有している場合、その事務所を現地法人の登記住所として登録することができません。そこで、以下のいずれかの手法をとります。
①事務所のスペースを分割し、不動産の権利書も含めて独立させる
②事務所とは別の住所を登記住所とする
①は家主の同意と協力が必要です。複数の部屋を一括で借りている会社が選択することができますが、登記の変更手続が必要となります。
一方、②は家主の同意が得られなかった場合や事務所のスペースを分割できない場合に選択します。この手法では新たに家賃コストが発生します。
■必要書類の準備…❷
会社を設立するためには、審査機関の批准および各種登記が必要となります。日本側で準備する書類は以下のとおりです。
・ 出資者資格証明書
出資者の所在地の公証機関の公証と駐日中国大使館・領事館の認証が必要となります。公証と日本外務省の認証および中国大使館の認証済みの文書は慎重に取扱う必要があります。コピーをとる際にホッチキス等をはずしたことにより、何らかの問題が発生した場合には、その法律上のすべての責任を当事者が負うことになります。
・ 株主全員が共同で署名したフィージビリティスタディ報告
定款の必須事項のみを記載しておくと、変更が生じた際に全会一致の株主総会決議を開催する頻度を減らすことができます。
・ 各株主の銀行資本信用証明(原本)、登記登録証明ならびに法定代表の証明(いずれもコピー)外国投資者が個人である場合は身分証明書を提出しなければならない。
・ 投資各当事者の注冊会計師の監査を経た直近1年分の監査報告書付き決算書類
・ 設立予定の外商投資商業企業の輸出入商品目録、董事会構成員名簿ならびに投資各当事者の董事任命書
・ 会社の董事、監事、総経理の氏名、住所を記載した文書および委任派遣
・ 住所等を記載した任命書等
・ 外国企業の発行する署名権者に対する授権書または証明文書
・ 法定代表者の写真
また、中国側で準備する書類として以下のようなものがあります。
・ 外資会社設立登記申請書
・ 会社の定款
・ 財産権譲渡手続(最初の出資が非貨幣性の資産をもって行われる場合)完了の証明書類
・ 新規会社の住所証明書(賃借契約の原本、不動産証明書のコピー)
・ その他、中国政府機関(商務局や税務局等)から要求される必要書類

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